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オウレン種子の催芽処理に成功

オウレン類は雪を割るような形で早春に開花して、種子は5月の連休前後に黄熟しますが、その時点では胚が未熟ですから、そのまま播いてもまったく発芽しません。また種子を内包する袋の端が綻びた状態となっており、これは原始的な形質とされるためオウレン属植物は植物系統樹の土台部分に位置付けされています。

オウレンの種子を追熟させるには恒温・恒湿の特殊な条件下で半年間ほど貯蔵する必要があり、その条件をクリアーするのはなかなかで、きわめて至難の技法となっています。

そこで、昨年5月15日に採取したタネを、市販の育苗箱に赤玉土の小粒を入れ、その上を腐葉土で薄く被ってタネを中央部分に置き、その上に厚さ5㎝の腐葉土と3㎝の培養土を上乗せして、サンシュユの葉陰に設置しました。3月11日に上乗せした培養土と腐葉土を除去しておいたところ、4月5日に無事に発芽しているのが確認され。さらに今後とも追々発芽してくると思われますので、今回の催芽処理は大成功です。これで、薬草園におけるオウレンの継代栽培が可能になりました。

発芽したオウレン種子
開花後に伸長した果柄と種子を内包する袋