今はアマチャの花が真っ盛り !!
薬草園の中央付近ではアマチャ(Hydrangea serrata var. thunbergii)の花が見頃を迎えています。アジサイの仲間で、本州の山中に稀に自生する落葉低木ですが、この時期は滋賀県高島市朽木や甲賀市信楽のスギ林の下草として薄青色の花が目立ちます。花序の周囲に4枚の蕚(ガク)片が発達した装飾花(中性花)をつけています。
9月に地上10cmくらいのところから刈り取り、葉と枝先を摘んで水洗し、約2日間陽乾した後、これに水を噴霧して、1日積み重ねて発酵させます。よく揉んで乾燥したら“甘茶”の出来上がりです。甘味成分はフィロズルチンで、砂糖の1,000倍の甘さがあるとされています。
旧暦の4月8日に釈迦の降誕を祝して行われる「灌仏会(カンブツエ)=花祭り」では、お参りする時に釈迦像の頭上から甘茶湯を注ぎ、また参詣者はその甘茶を持ち帰り、それで墨をすって「千早振る卯月八日は吉日よ神さけ虫を成敗ぞする」の歌を書き、便所などに張って“虫除けの呪い”としたようです。
ただ、近縁種であるアジサイの葉には青酸配糖体のアミグダリン様物質が含まれていて、葉1枚でも食べると、体内の酵素と反応して有害なシアン化水素(青酸)が生成され、嘔吐やめまいなどの中毒症状を引き起こす可能性があります。この時期、料理の飾りとしてアジサイの葉を使わないでくださいね。
なお、アマチャについては、薬草園ホームページの「薬草のご紹介」でアマチャの項をご参照ください。