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「取り木」でクローン苗づくり

薬草園のシンボルツリー、スズカケノキ(Platanus orientalis)の下枝で黒いフィルムに包まれたものは、「取り木」という手法を施しているところです.
枝に8~10㎝幅の環状剥皮をした後、湿らせたミズゴケ玉を被せて黒色フィルムで覆ったものですが、6~8ヶ月すると皮の癒合部から発根するので、それを切り離して大きな苗に立てることができます。
「取り木」を成功させるには、① 樹皮が剥がれやすい、春~初秋の生育時期に行うこと、② 十分な幅の樹皮を剥ぎとり、滑り(形成層部)を完全に拭き取ること、③ 黒色フィルムの中のミズゴケが適度な水分を保持するよう密閉しておくこと、④ 環状剥皮した部分は折れやすいので、必ず“副え木”を施しておくこと、などが必須の条件となります。
この木は「ヒポクラテスの木」と呼ばれ、開園記念樹として平成24年(2012)11月24日に植えられたものですが、薬草園開設10周年の記念事業の一環として、この木のクローン増殖苗を福井大学医学部や若狭の公立高校などへ提供する計画が持ち上がり(コロナ禍のために、各施設の記念事業などはいずれも延期されていますが---)、そのための「取り木」を実施しているわけです。

写真①:黒色フィルムに包まれた“取り木”の様子
写真②:発根した状態
写真③:提供苗の育成状況