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2023年11月(霜月)の情報

白露や 茨の針に ひとつづつ  
                 正岡子規

深まる秋。やがて厳しい冬が訪れるつかの間の儚い季節。
枯れ葉が風に舞い、晩秋ならではの光芒にどこか静寂さを感じます。
杭白菊が今年は少し遅れて咲きだしました。
四季折々の表情を見せ、楽しませてくれた薬草たちも、そろそろ冬支度の準備。
大伴家持が
      かにかくに人は言ふとも若狭道の後瀬の山の後も逢はむ君                          
と、万葉集に詠んだ薬草園から望む後瀬山も、日増しに表情を変えて行きます。慌ただしい日常を忘れ、ベンチに腰掛け過ぎ行く秋に身をまかせ、ゆっくりと物思いに耽るのも趣深いものです。

10月28日には、薬草園開園10周年記念式典・記念講演会が、まちの駅・旭座で盛大に行われました。舞台には会員による薬草園の花が生けられ、素晴らしい雰囲気を醸し出していました。式典では、公立小浜病院組合松崎晃治組合長が、「薬草園は平成25年5月に約50種類の薬草を育て開園しました。現在では約120種類の薬草が育ち、県下唯一の薬用植物園として、地域住民の皆様の癒やしの場になっています。植物多様性の維持にも貢献する施設として発展するようさらに努力する」と式辞を述べ、続いて薬草園管理アドバイザーの渡辺斉氏と、小浜病院園芸ボランティアすみれの会の長年にわたる活動に対し、感謝状が贈呈されました。

講演会では、公立若狭高等看護学院講師の武長秀樹氏が、「現代医療における漢方薬の役割」と題し、元若狭歴史民俗資料館館長の大橋正博氏には「上田三平著『日本薬園史の研究』を巡って」と、講演をしていただきました。お二人の先生の、薬草園10周年にふさわしい興味深い内容に参加者は聞き入っていました。

枯れ葉舞う
夕映えのウド
ウンシユウミカン
杭白菊
アドバイザー渡辺斉氏に感謝状
すみれの会代表に感謝状
参加者そろって記念撮影