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ニッケイ・特有の香りと甘み

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特徴

 「桂皮(ケイヒ)=シナモン」は、トンキンニッケイ(C. cassia)などの樹皮部分で、健胃、発汗、解熱、鎮痛、整腸作用などが知られていて、神経性胃炎や感冒用の漢方薬に配合されています。香辛料としても大量に消費されていて、例えばトーストやお茶、さらには京銘菓の“八つ橋”などで多くのファンを魅了しています。現在、日本で流通・利用されている桂皮のほとんどすべてがベトナム、ミャンマーなどからの輸入に依存しています。

 一方、その仲間で根皮に特有の香りと辛味、甘味のあるニッケイ(Cinnamomum sieboldii)は、南九州や四国、紀伊半島、房総半島などの暖地で人家の周囲に植えられていて、かつてはあちらこちらに大木が見られたものですが、細根まで掘り上げる職人がいなくなって、いつの間にか絶滅危惧種に指定される希少種となっています。細根の根皮は香味が最も優り、これを“チリチリ”と総称し、中でも最も細い最上品を松葉、次を上チリ、中チリ、太い根は小巻、中巻、荒巻と呼びました。細根を赤い紙で巻いた「ニッキ」が、今でも石鎚山の登山口や紀三井寺の門前町で細々と売られています。

 古い葉の葉柄には根皮と同じ成分がほぼ同じ量だけ含まれていますので、乾燥させた2~3本を紅茶に入れると爽やかな“シナモン・ティー”を味わうことができますよ。