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ホソバオケラ・水毒を去る要薬

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特徴

 ホソバオケラ(Atractylodes lancea)は、中国原産の多年草。葉は無柄の単葉で細長く先が尖り、葉縁には刺状の刻みがあります。秋に白色の頭状花を頂生しますが、雄しべが退化しているため結実しない。日本へは享保年間(1716~1736)に中国から渡来し、幕府が薬草栽培を奨励した名残りでかつては尾張、大和、佐渡で生産栽培されていましたが、明治以降は佐渡だけが残り(佐渡蒼朮(ソウジュツ)という)、現在ではわずかに種苗だけが保存されている状況となっています。本種が広く伝播しなかった理由の一つは繁殖源を根茎だけに依存せざるを得なかったことが大きいと思われます。ただし、中国本土には花粉のできる個体が存在するので、最初にたまたま雌株のみが導入されたものと推定されます。

 本種の根茎を乾燥したものが「蒼朮」で、ヒネソールやオイデスモールなどを主成分とする精油3.5~5.6%を含み、根茎の切断面にはそれらの白色・綿状の結晶が析出するのが最大の特徴です。漢方では水毒を去る要薬とされ、水分代謝を盛んにして、胃内停水や尿利不全などを主治し、健胃・整腸、利尿、発汗の効果が大きいとされています。

 蒼朮は、日常生活でも湿気を払う効力があり、かつて呉服商は梅雨時にこれを倉庫中で燻べて呉服のカビを防ぎ、また洪水の後に家の中でこれを燻べたことから、「焚草(タキソウ)」とも呼ばれた由。