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ウド・春芽が山菜の珍味

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特徴

 ウド(Aralia cordata)は、日本各地の山野に自生するウコギ科の多年草で、茎は直立して疎らに分枝します。葉は互生し、2回羽状複葉です。花は淡紅色で、晩夏に多数の散形花序をつけ、上部に両性花、下部に雄花をつけます。果実は径5㎜ほどの液果で、黒く熟します。和名は埋(ウズ)から転じ、土の中の芽を食べることに由来するといわれています。

 秋に地下部を掘り上げて乾燥・調製した塊状の根茎を「独活(ドッカツ)」、根を「和羌活(ワキョウカツ)」と称し、抗炎症、発汗、解熱、鎮痛、駆風(粘膜の緊縮)、通経などの作用が知られています。ただ、これらには同名または類似名が多数存在し、全く異なる別の植物が同じような効能を有することも知られています。また煎液を浴槽に入れると血行が良くなり温まるため、神経痛や冷え症の方にお薦めです。

 図体だけが大きくて中身が伴わず使いものにならない者を”ウドの大木、柱にならぬ”と言います。本種の茎は高さ2m以上にもなるのに中空で弱く、使い道がないと揶揄されますが、新芽は古くから春の山菜として汁の実、酢の物、煮物などに賞味されています。今から約250年前の文化・弘化の頃から栽培が始められ、現在では促成・抑制の軟白化栽培技術も進み、ほとんど年中食卓を賑わすようになりました。また香気と歯切れのよい肉質のため、諸外国でもサラダとして賞用されるようです。