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ケイトウ・淳庵の出品生薬

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特徴

 ケイトウ(Celosia argentea var. cristata)は、インド原産の一年草で、日本には奈良時代に中国から渡来し、現在では観賞用に赤、紅、黄、白色など多くの園芸品種が育成されています。和名は、花が雄鶏の“とさか”に酷似していることに由来します。

 花序は「鶏冠花(ケイカンカ)」と呼ばれ、止瀉、止血の作用があり、下痢や痔疾の民間薬として用いられます。中川淳庵は宝暦7年(1757)に初めて開かれた薬品会(ヤクヒンエ)(物産会)以来、毎年3~6種の薬物を出品した中に鶏冠花があります。当時はかなり“珍しい薬物”と見なされていたのかもしれませんね。また子宮出血の血止めには種子を日干しにした「鶏冠子(ケイカンシ)」が使われます。

 『万葉集』の巻3には韓藍(カラアイ)を播いて育てる山部赤人の歌が載っていますが、巻11の鶏冠草の花も同じく「からあゐ」と訓じられ、いずれも本種を指すと見られています。中国では三国志の時代、呉や蜀の後宮に本種が植えられていて、「後庭花」と呼ばれていた由。

 栽培では、“嫌光性”種子のため覆土が必要であり、また“高温発芽性”なので地温25℃以上を要しますが、保温のため「こもかけ」などをすれば短日感応して幼苗時に花成誘導されて貧弱な株になります。さらに、“直根性”のため移植は丁寧に行う必要があります。