トップページ > 中川淳庵顕彰薬草園 > 薬草のご紹介 > コガネバナ・抗アレルギー作用の薬材

コガネバナ・抗アレルギー作用の薬材

薬草検索

特徴

 中国の人気観光地・万里の長城の眼下に広がる岩場の隙間に生えているのがシソ科のコガネバナ(Scutellaria baicalensis)です。中国東北部からバイカル湖あたりまで広く分布する多年草で、茎は四角形で草丈30~60cm、夏から秋にかけて濃青紫色の唇形花が咲き乱れます。日本へは享保年間(1716~1736)に朝鮮から渡来し、小石川御薬園で栽培が試みられました。比較的栽培しやすいことから、現在ではどこの薬草園でも見ることができます。

 この根の周皮を除いて乾燥したものが「黄芩(オウゴン)」で、主成分として黄色のバイカリンやオウゴニンなどが含まれています。根には同時にバイカリナーゼという酵素が共存しており、鉄製の刃物を用いて周皮を除くと直ぐに接触面が青緑色に変色して商品価値を著しく低下させます。そのため“芋洗い器”に小粒の砕石を入れて回転させながら剥皮する手法が採用されています。

 根の薬理試験では抗菌、解毒、胆汁分泌促進、利尿、抗炎症、抗アレルギーなどの諸作用が認められていて、漢方では炎症、充血、発熱を伴う疾病のうち特に呼吸器系の熱を去る働きが強いとされる薬材です。ところが、最近の調査で間質性肺炎など副作用との関連が示唆されていますので、漢方薬への過信や複数薬剤の同時服用には十分な注意を払う必要がありそうです。