アケビ・野趣豊かな”酒の肴”
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特徴
アケビ(Akebia quinata)は、日本の山野で普通に見られる落葉つる性の木本植物です。つるは長く伸びて、左巻きで他の木に巻き付きます。つるは強靱なことから、かご細工や工芸物(長野県の郷土玩具「鳩車」など)に利用されています。葉は5枚の小葉からなる掌状複葉で互生し、4~5月頃、葉腋から花序が伸びて垂れ下がり、花弁のない単性花を開きます。基部に1~3個の雌花(紅紫色)を、先端部に雄花(淡紫色)を多数つけます。果実は長楕円形で、熟すると表面が紫色を帯びて縦に裂開することから、和名は”開け実”に由来します。
茎を、通例横切りにしたものが「木通(モクツウ)」で、漢方では水の巡りをよくして体内に滞っている余分な水分を排尿することで外に出す働きがあるとされています。また野外において木の枝などで突き目をした時、10cmほどのつるから吹き出てきた汁を患部につけると、痛みが和らぐとされています。
果実の中には多くの黒色種子があり、それを包む白い半透明の果肉には甘味があって、そのまま食べることができます。でも、大人はむしろ種子を除いた果実殻に魅力を感じるようです。殻(厚い果皮)の中に肉、茸、味噌などを詰めて油で炒めると、ほろ苦い野趣豊かな”酒の肴”の出来上がりです。また若葉も山菜として利用され、乾燥した葉は「あけび茶」として賞味されます。