トップページ > 中川淳庵顕彰薬草園 > 薬草のご紹介 > アミガサユリ・茶花として人気

アミガサユリ・茶花として人気

薬草検索

特徴

 アミガサユリ(Fritillaria verticillata)は、中国原産の宿根草で、江戸時代の享保9年(1724)に渡来したとされています。3~5月、上部の葉腋に1個ずつ下向きに淡黄緑色の鐘状花をつけますが、その花形が編笠にも似ていることから和名がつけられました。草姿が上品で渋い趣きがあるため、切り花や茶花としても人気があります。

 鱗茎の外皮を剥ぎ、石灰粉をまぶして乾燥させたものが「貝母(バイモ)」です。生薬名は、肥厚した2個の鱗片が丸味を帯びたハマグリの形をしていることに由来します。解熱、鎮咳・去痰などの薬効が知られていますが、漢方薬としての需要は少なく、中国・浙江(セッコウ)省産がわずかに輸入されています。

 本種の栽培では植物ウイルスの駆除・防除が最も重要です。接触感染しますので、アブラムシなどを完全に防除することや園芸器具の殺菌消毒を徹底することがポイントです。また種子繁殖で苗を育成するとウイルスフリー株が得られますが、交配後種子が熟するまでに半年、それを採り播きしても発芽するまでには一年半を要します。その後3~5年間、毎年植え替えて肥培管理すると、球根が開花する大きさに肥大します。ウイルス罹病株は全体が萎縮しますが、フリー株は開花時の草丈が80~100cmになるので、外観からもウイルス感染の有無を識別できますよ。