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ベニバナ・桃色木綿の産着

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特徴

 ベニバナ(Carthamus tinctorius)は紀元前2000年もの昔から染料や薬用として栽培されてきました。原産地は中央アジアとされていて、我が国へは飛鳥時代の頃中国の江南および朝鮮半島を経由して渡来したと思われます。葉縁や花に鋭い刺のある一~二年草で、6~7月頃アザミ状の花をつけます。花は咲きはじめ黄色で、後に赤色となります。その花を朝露に濡れて刺の柔らかい早朝に摘み取って乾燥したものが「紅花(コウカ)」で、女性の冷え性や血色不良を改善します。また子宮の働きを活発にしたり、冠状動脈を拡張する作用などもあります。成分は紅色素のカルタミンと黄色素のサフロール・イエローなどが知られていて、まず冷水に後者を溶け出させて食品用に、残った前者はアルカリ液で抽出して衣服染料などに利用しました。昔は”口紅”として貝殻の内側に塗り固めた「ベニ・紅花」を使っていましたが、これは通経効果のある紅花を少しずつ摂取することによって生理不順や冷え症など女性特有の症状を取り除こうとする『先人の知恵』だったわけです。さらに、紅花で染めた桃色木綿を女児の産着とし、袖口をしゃぶらせることによって強壮効果を期待しました。実際にはその効能が云々より、祖父母を含む家族全員で赤ちゃんの無事な誕生を待ちわびる、そんな気持ちや絆の大切さを是非とも後世まで継承したいものですよね。