フタバアオイ・雷と地震の厄除け
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特徴
フタバアオイ(Asarum caulescens)は、5月15日に行われる京都の「葵祭」で祭員の挿頭(カザシ)花として用いられます。王城鎮護を司る賀茂御祖(ミオヤ)神社(下賀茂神社)と、農事・産業の守護と方位除災を司る賀茂別雷(ワケイカヅチ)神社(上賀茂神社)の例祭のことです。祭りでは600本の葵とカツラの枝を井桁に組み合わせて献上し、神を迎える儀式が行われます。葵が賀茂祭に用いられる第一の理由は、上社の別雷命が生まれた御形(ミアレ)山に、双葉の葵が生じたという故事に由来し、このため葵は雷と地震の厄除けになるという。第二は、下社の祭神である玉依姫の御子が成長して天に昇る際、奥山のサカキに葵を飾って待てば「必ず母の膝元に自分が現れる」と教えたことに因る、とされています。
「水戸黄門」の見せ場に登場する印籠には、金蒔絵で丸に三葉葵紋が描かれていますが、徳川家の家紋が本来何であったか定かではなく、ご先祖の徳川親氏という武将が松平家を継いだ際、その家紋であった葵紋も引き継いだのが真相らしい。その葵紋は賀茂信仰に由来していて、神紋(花付きの双葉葵、写真参照)を祠官や氏子が譲り受けた形で、三河地方の有力な豪族は軒並み葵の家紋としています。ただ、神紋を丸写しにするのを避けて「丸に三葉葵」とされ、さらにその図案は時代によって変化しています。古いものほど葉と柄が小さく、江戸中期以後は葵全体がスペードに近い形になっています。