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イセイモ・黒ずまないトロロ

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特徴

 イセイモ(伊勢芋) は、ヤマノイモ(Dioscorea japonica)の中の「つくね芋」系で、江戸時代から三重県多気郡多気町で栽培されてきました。現在では栽培の中心が肥沃な櫛田川沿岸の津田地区に移されています。形状が白皮の塊形(ボール状)となり、摺り下ろすと真っ白で粘りが強く、アクがないので長い間放置しても黒くならないのが最大の特徴です。味は淡白で“癖”がなく、コクがあって“畑のうなぎ”とも言われるほど栄養価が高いです。なおかつ多量のジアスターゼを含むので消化に良く、滋養強壮に効果があります。親芋を頭上に頂くように子芋が大きく育つところから、「親孝行芋」の別名があり、古来より婚礼や祝い事の贈り物として愛用されてきました。丸味があって凹凸の少ないものと、凹凸が多く皮が赤みを帯びたものがあり、後者の方は粘りが強く品質が極めて良いとされています。一般的には茹でて食べられていますが、皮が薄いので簡単に連続して剝けるのも特徴です。

 栽培土壌は砂気が多くて排水の良いものが適します。収穫時期は10~11月です。原種保存のため、収穫した中から3~4割を種イモとして残さなければならず、また栽培従事者の高齢化や栽培に手間がかかるなどの理由で、伊勢イモの生産量は減少傾向にあります。貴重な遺伝子資源を後世に残すためには、家庭での栽培や利用などをもっと幅広く普及させる必要がありますね。