ジャコウソウ・優雅さを象徴する香り
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特徴
タチジャコウソウ(Thymus vulgaris)は、南ヨーロッパ原産で、広く栽培される常緑性の半低木です。草丈15~30cmになり、茎は木質化します。日本へは明治初期に渡来しましたが、多くは観賞用にされています。5月頃、小枝の頂に群がって唇形の小花をつけます。全草に芳香がありますが、特に葉や萼が強く香り、手のひらを軽く触れただけで匂いが移ります。シソ科 英名:common thyme
花期に地上部を採取して陰干ししたものが生薬「百里香(ヒャクリコウ)」で、百里離れた所まで香りがするということから名付けられました。チモールやカルバクロールなどを主成分とする精油を含んでいて、発汗、収斂(シュウレン)(粘膜の引締め)、利尿、強壮作用があり、痰咳、風邪、頭痛の治療に用いられます。また古くから香辛料の一つとして、今では「タイム」の名で広く親しまれています。茎葉から抽出したものを「タイム油」あるいは「セルポレット油」と称し、調理やソース、トマトケチャップなどに賞用され、また歯磨きなどの香料や防腐剤にも利用されます。
元来獣肉が料理の中心である西洋諸国では、その悪臭を消し、腐敗や中毒を予防するため香辛料は欠かせない必需品とされてきました。中世では「あなたはタイムの香りがする」という表現が容姿端麗な人に対する最高の誉め言葉で、気品や優雅さの象徴であった由。