カラスビシャク・庭や畑のやっかい者
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特徴
カラスビシャク(Pinellia ternata)は、庭や畑の雑草としてその地方名も数多く、また極めて多彩な繁殖手段を持っています。まず4~5月頃、地下にある球茎から3~5本の葉柄を長さ10~20cmに伸ばし、その先に3枚の小葉を展開して、葉柄の途中と小葉の基部にそれぞれ珠芽(むかご)を1個ずつ形成します。その後、サトイモ科特有の“仏炎苞(ブツエンホウ)”という変わった形(ヘビが釜首を上げた様子に似る)の花序を数本伸ばし、それぞれに平均20粒前後の種子を稔らせます。つまり、1個の親球茎から20個以上の珠芽と、100粒以上の種子ができるのです。加えて、耕起などで傷付いた球茎の小さなかけらさえ、腐らずに不定芽を形成する“しぶとさ”です。したがって、一旦雑草として畑に入り込むとなかなか完全に駆除できず、雑草学では強害種の一つになっているのです。
地上部が開花・結実する頃、地下では新しい球茎が形成され、それが充実すると休眠します。したがって、8月以降に展葉しているものはすべて珠芽から萌芽したものですが、それらも10月頃には地上部が枯死して球茎はすべて休眠してしまいます。種子は翌春に発芽して、半数以上が育ちます。
本種の球茎を夏に掘り取り、その外皮を除いて乾燥したものが「半夏(ハンゲ)」で、主に去痰、鎮吐などの作用があり、生姜とともに妊婦のツワリ止めなどに用いられています。