トップページ > 中川淳庵顕彰薬草園 > 薬草のご紹介 > カザグルマ・絶滅危惧種の美花

カザグルマ・絶滅危惧種の美花

薬草検索

特徴

 カザグルマ(Clematis patens)は、キンポウゲ科のつる性多年草で、主に林縁や湧水池の周囲などに生えています。茎は褐色で木質化し、2~5mに伸びます。小葉3~5枚の羽状複葉で、葉柄は長く伸びて、周囲のものに巻き付く性質があります。5~6月頃、先端に白色または淡紫青色の花を単生します。花弁のように見える萼片(ガクヘン)はふつう8枚で、径7~10㎝ですが、枚数や大きさの変異が見られます。根を「鉄線蓮(レン)」と呼び、痛風(尿酸症)、リウマチ、神経痛の痛み止め治療に用いられます。

 小浜藩医・中川淳庵が活躍されてから半世紀後、シーボルトによってオランダへ持ち出され、中国原産のテッセン(C. florida 花被片は6枚)とともに交配が重ねられ、今では世界中で多彩なクレマチス園芸品種が育成されて愛培されています。花はそのままでも十分な観賞価値があることから、乱獲あるいは自生地域が開発されたため、野生の株が激減して準絶滅危惧種に指定されています。奈良県大宇陀市の自生地(淡紫青色の花)は、1948年に国の天然記念物の指定を受けています。また岐阜県中津川市には白花種が自生していて厳重に保護されていますが、薬草園ではお隣の岐阜県土岐市の野生株から増殖されたもの(市販品)を、運よく入手・栽培しています。病院の待合室から美花をお楽しみ下さい。