クサボケ・果実酒で疲労回復
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特徴
クサボケ(Chaenomeles japonica)は、この仲間で唯一日本に原産するバラ科の落葉低木です。3~4月に朱紅色の花を咲かせ、秋には球形の実が黄熟します。ただし、本種は雌雄異花で、雌花が極端に少なく、雄花しか着いていない株もあって、そのことが果実の数を少なくしています。果実は頭尾の窪んだ楕円形で、長さ4~7cm。秋には黄色に熟して芳香を放ちます。
果実を薄く横切りして乾燥したものが「木瓜(モッカ)」で、強壮、咳止め、利尿薬として暑気あたり、消化器系の病気、筋肉の疼痛・痙攣などに用いられます。また香りのよい酒石酸やリンゴ酸を多く含むので、砂糖煮や果実酒として利用すると、運動した後の疲労回復や筋肉痛などにも効果的です。
一方、日本で庭木や盆栽、切り枝などに賞用されるボケ(C. speciosa)は中国原産で、我が国への渡来は古く、すでに『本草和名(ワミョウ)』(918)や『延喜式』(927)などに記載されています。高さ3mくらいになり、花は葉よりも先に開き、直径2.5~5cmで白、淡紅、緋など花色はさまざまです。
英語圏では、本来中国産のボケを「ジャパニーズ・クインス」または単に「ジャポニカ」と呼んでいます。これは、イギリスへ導入された当時(1796)、日本固有のクサボケと同一視されたためで、その後1818年に両者は別種と認定されましたが、すでに定着していた英語名はそのままとなった由。