マグワ・緩下・利尿に効くお茶
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特徴
マグワ(Morus alba)は、中国中東部の山岳地帯に野生する高さ5~10mほどの落葉高木で、幹の直径は約50㎝にもなりますが、養蚕用の栽培ではほとんど低木仕立てにされます。葉は艶のある濃緑色で互生し、切れ込みがあって形は様々です。雌雄異株で、春に花弁のない淡黄色の小花をつけます。果実は初夏に熟して赤黒くなり、甘くて生でも食べられます。昔は子供たちの“おやつ”で、食べると唇や舌が紫色に染まりました。薬草園では特に“実成り”の良い個体を入手して栽培しています。
根の皮を「桑白皮(ソウハクヒ)」と呼び、利尿、鎮咳、去痰、消炎、血圧降下作用などがあります。葉を焙じてお茶代わりに飲むと、緩下・利尿作用を高めて中気を予防するとされています。またビタミンB1、カロチン、亜鉛などを豊富に含み、便秘改善、肝機能の強化、脂肪の抑制、血糖降下作用なども期待できます。鎌倉時代に中国へ留学した栄西禅師は、我が国初の茶書『喫茶養生記』の中で「桑葉の粉末茶を服用すると糖尿病など万病に効く」と記しています。
「山の畑の桑の実をー」と唄う『赤とんぼ』は、大正10年(1921)に詩人の三木露風が故郷(兵庫県揖保郡龍野町)への思慕を込めて童謡雑誌に寄稿したもので、その6年後にベルリン留学から帰国した山田耕筰が作曲して発表されました。2007年には「日本の歌百選」の1曲に選ばれています。