オオバナオケラ・身を軽くする生薬
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特徴
オオバナオケラ(Atractylodes macrocephala)は、中国南部の浙江(セッコウ)・安徽(アンキ)・江蘇・江西・福建・湖南・湖北・陝西(センセイ)の各省に分布し、標高1,000~1,800mの山林に生える多年草です。草丈30~80cm。茎は直立、基部は木質化して上部は分枝します。卵状披針形の単葉が互生し、有柄、株の基部近くの葉は3~5裂します。葉縁の鋸歯は細かく、先が尖っています。径2~3cmの頭花を頂生し、9~10月頃に開花します。筒状花は紫紅色で、花柱が花冠から突出しています。痩果(ソウカ)は長円状楕円形で、先端に冠毛を残留した円形の痕があります。
根茎を乾燥したものが「白朮(ビャクジュツ)」で、精油1.5%を含んでいますので、生薬の表面がやや滑るのが特徴です。ただ、「朮」には「白朮」と「蒼朮(ソウジュツ)」があり、それぞれは産地によって原植物が異なっています。いずれも消化管および皮下組織中に起こる水分代謝の不全に対して、利尿・発汗を促し、漢方でいう水毒を除く要薬とされています。中でも白朮は止汗作用があって、臓器内の余分な水分を取り除く作用が比較的強いとされています。逆に、蒼朮は発汗作用に優れています。
朮が正月に飲むお屠蘇(正確には“屠蘇散”という漢方の配合薬)に入っているのは、中国の古い本に「朮を服用すると身を軽くして寿命を延ばす」と書いてあることに因るらしい。