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オニユリ・精神不安の解消に

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特徴

 オニユリ(Lilium lancifolium)は中国原産で、古い時代に我が国に持ち込まれて野生化したと考えられています。三倍体で種子ができない代わりに、葉腋に黒紫色で豆粒大の“むかご”をつけるのが特徴です。盛夏の頃、1茎に20輪近くの橙赤色花をつけ、花被片は大きく反り返ります。

 秋から冬に掘り取った鱗茎を水洗し、バラバラにした後熱湯をかけてから陽干しにしたものが生薬の「百合(ビャクゴウ)」で、『局方外生薬規格集』に収載されています。成分としては、多量の澱粉、多糖質の粘液質、水溶性食物繊維などが豊富に含まれていて、消炎、鎮咳、鎮静などの薬理作用があります。口や喉、胃の粘膜を保護し、鼻づまりや慢性鼻炎、蓄膿症あるいは精神不安の解消や安眠などに効果があります。さらに、むくみを取り除き、便秘を改善し、コレステロールや血糖値を抑え、高脂血症の改善などにも極めて効果的です。

 鱗茎の「ユリ根」は、茶碗蒸し、煮物、汁の実、天ぷら、きんとん、菓子類などの原料として馴染み深いのですが、日頃何気なく食べている具材にも数多くの意外な効能があって驚かされます。薬食同源の典型的な一例と言えますね。

 薬草園では、長崎県対馬の女県地区にのみ特産する黄花のオウゴンオニユリも栽培しています。