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サンショウ・朝倉家ゆかり?!

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特徴

 戦国時代、信長によって滅ぼされた越前朝倉家の発祥地は兵庫県養父市八鹿町朝倉です。そこにある今滝寺(コンリュウジ)の境内から幹や枝にトゲのないサンショウ(Zanthoxylum piperitum)の雄株が見出され、調査に訪れた牧野富太郎博士によって“朝倉ザンショウ”と命名されました。もともと雌雄異株の落葉低木で、タネから育てると“先祖返り”してトゲが生じるので、実生苗に接ぎ木して増殖されてきました。果実も大きくて収穫しやすく、香りも強いのが特徴です。そこで、奥美濃では6月に収穫した未熟果実を、風通しの良いカイコ棚に広げてゆっくり乾かし、一年後に黒いタネを取り除いた後、熱が加わらないよう石臼あるいは水車の力で粉砕して“最高級品”に仕上げられています。若葉・芽は吸い物、木の芽あえ、田楽など初夏のすがすがしい香気を食膳にもたらしてくれます。また花ならびに若い果実は佃煮に加工されるなど、日本流ハ-ブの最たる存在といえます。

 真っ赤に成熟した果皮を乾燥したものが「山椒(サンショウ)」で、芳香性健胃、消炎、利尿、局所興奮などの作用が知られています。大手術後の胃腸の不調を改善する漢方薬として、最近最も多くの方が服用されている「大健中湯」に配合される重要な生薬でもあります。