サンシュユ・市民団体からの寄贈
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特徴
薬草園に面した東玄関で、3月中旬頃から黄色い小花を枝いっぱいに咲かせるのがサンシュユ(Cornus officinalis)です。この樹は、「小浜市の歴史と文化を守る市民の会(当時の会長;堂前 廣氏)」から薬草園の創設記念に寄贈されたもので、秋には赤い果実が見られるようになりました。その果肉だけを乾燥したものが「山茱萸(サンシュユ)」で、歴代の本草書には「元気を壮んにする」「腎気を補い、肝を温める」など強壮・強精作用の記載が多く見られます。薬店の黄色い幟でお馴染みの漢方薬・八味地黄丸などに配合されていて、男女更年期や老人の糖尿病、夜間頻尿、排尿困難、口渇などに効果が期待できます。
中国原産の落葉小高木で、享保7年(1722)に我が国へ渡来したとされています。花は加温するだけで簡単に咲くので、促成して冬の花材に利用されます。また赤く熟した果実をつけた切り枝が「アキサンゴ」と呼ばれます。本種の繁殖は容易でなく、タネを播いても発芽するまでに1年半もかかり、花や実を見るまでには最短でも7~8年を要します。果実の形や大小などに変異があります。
ところで、皆さんは宮崎県の民謡「稗つき節」をご存知でしょうか? 冒頭の「庭のサンシュの木」をしばしば本種のことと誤解されますが、歌の主題が源平合戦の頃(1220)の悲恋物語ですから、本種の渡来時期と全く合いません。正しくはミカン科のサンショウを指したものと考えられます。