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シソ・魚の食中毒に効く薬草

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特徴

 梅干し、漬物、薬味、ジュース、飴に至るまで、シソ(Perilla frutescens var. acuta)は古来より私たち日本人の食生活に広く深く溶け込んでいますが、もとは中国中南部原産の一年草で、飛鳥時代以前に薬草として日本へ持ち込まれました。紫蘇の紫は葉の色を、蘇は食欲を高め、気を巡らせて人を蘇らせることを意味しています。葉を乾かしたものが「紫蘇葉」、種子が「紫蘇子」と呼ばれ、漢方的には気剤として興奮性発汗、解熱、鎮咳、鎮静、鎮痛、利尿、胃液の分泌促進など幅広い効果があり、感冒、発熱、悪寒、消化不良などに用いられています。

 葉が食用に供されたのは室町以降で、今では縮緬ジソや片面ジソなど多くの品種が作り出されています。またシソの葉や果穂を刺身、寿司、焼肴などに添えますが、これは魚の中毒に蘇葉が効果的であることからと解され、まさに“薬食同源”を理解する上で格好の植物となっています。ただ、中国の本草書ではシソを「蘇」、エゴマを「荏=白蘇」と称して区別していますが、今では多くの中国人がシソそのものを知らないらしく、特に若者は日本の「梅干し」が最も苦手で嫌いな食べ物の一番手だそうですよ。

 シソは典型的な“短日植物”ですから、あまり春早くにタネを播くと、本葉3~4枚で花芽分化を起し、栄養成長がストップします。また種子は“暗発芽”ですから、覆土を丁寧に行う必要があります。