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ウラルカンゾウ・配合頻度の高い薬材

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特徴

 甘草は、漢方薬の苦味を矯正・中和する働きとともに、鎮痛・鎮痙(ケイ)作用が強くて諸々の急迫症状を緩和します。とりわけ筋肉の急激な緊縮によって発する疼痛(こむら返り)を治す効果は抜群で、また腹痛や咽喉痛にもよく効きます。日本の一般用漢方薬の中で7割を超える処方に配合されている極めて重要な薬材ですが、漢方薬の多剤併用で高血圧症、低カリウム血症、浮腫などの副作用が引き起こされる可能性が指摘されています。一方、タバコや菓子、味噌・醤油などの矯味・甘味料としても多量に用いられていますので、特に仁丹やガムの愛用者は発症の危険性に要注意です。

 『日本薬局方』では、有効成分であるグリチルリチンの含量が2.5%以上と規定されていますので、薬用には主にウラルカンゾウ(Glycyrrhiza uralensis)が用いられています。中国東北部から西北部および華北、シベリアの乾燥地に分布する多年草で、日当たりのよいカルシウム質の草原や川岸など砂質地に生えています。株の周囲に根茎を3m以上も伸ばし、ところどころから発根しています。

 江戸時代には山梨県甲州市塩山にある旧高野家(甘草屋敷)や会津の御薬園などから栽培品が幕府に献上された記録が残されています。しかし、現在では年間必要量(約1000㌧)のほぼすべてを輸入に依存しているのが実状です。高品質の甘草が一日も早く国内生産されることを願っています。