トップページ > 中川淳庵顕彰薬草園 > お知らせ > 古代ギリシャの時代から知られた洗剤・サボンソウ

古代ギリシャの時代から知られた洗剤・サボンソウ

梅雨時期になると濃い緑の中に真っ白(写真①)や淡桃色(写真②)の花を咲かせるのが、ナデシコ科のサボンソウ(Saponaria officinalis)です。葉にサポナリン、根にはサポルブリンというサポニン成分を含むため、古代ギリシャの時代から洗剤として使われた植物です。植物にとってこれらの成分は吸水や保水に関与していると考えられています。葉や根を水に入れて掻き回すだけで簡単に泡立ちます(写真③)。そのため和名はシャボンの語源であるラテン語の「サボ」に由来し、また英名も soapwortで「石鹸草」を意味しています。

ヨーロッパから中央アジア原産の多年草です。日本へは明治初期に伝えられ、花が美しいため花壇用宿根草としてもよく植えられています。草丈は30~80cm、根茎が横走して繁茂します。葉は楕円状披針形で光沢があり、対生して3脈が目立ちます。初夏から夏にかけて、枝端に径2~3cmの5弁花を着けます。花色は淡紅または白色ですが、紅色花や八重咲き品種もあります。耐寒性があり、秋または春に植えれば、あまり手をかけずに毎年奇麗な花を咲かせます。繁殖は春に株分けで殖やすほか、よく結実するので種子を採り、種子繁殖でも容易に殖やせます。

古くから薬用植物として知られ、この根を乾燥したものが「サポナリア根」(写真④)で、去痰薬とするほか慢性皮膚炎などに体質改善外用薬として用いられました。また胆汁分泌促進や消炎薬としても利用されますが、作用が激しく、用量を間違えると激しい下痢を引き起こすので注意が必要です。

石鹸成分のサポニンは水と油どちらにも馴染みやすい性質を兼ね備えており、天然界面活性成分として肌に負担をかけずに肌バリアを残しつつ汚れを優しく落とすことができます。古代ギリシャの薬物誌『ディオスコリデス』に収載され、羊毛を晒すのに利用されていたようです。現在、欧州では傷つけることが許されない国宝級文化財の衣裳や絨毯の専用洗剤、あるいはセレブ専用の高価な超高級ソープなどに利用されている由。

写真① サボンソウの白花
(2013.10.01.撮影)
写真② サボンソウの淡桃花
写真③ 葉の泡立ち
(2025.6.15.撮影)
写真④
 サポナリア根の泡立ち

このページの先頭へ