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“刺激的で清涼な香りのミント”

お盆が過ぎるとハッカ(ミント)の仲間が花穂を伸ばし、秋の彼岸頃にそれぞれ可憐な花を咲かせます。花穂の形状や葉の匂いは品種によってそれぞれ異なり、園芸売り場には春先から秋まで6~8種類の苗が並んでいます。ただ、この仲間は互いに交雑して雑種を作りやすいので、通常、地下茎を分割して増殖します。薬草園にはミドリハッカとその交配種である西洋ハッカの2種類が植えられています。

ミドリハッカ(Mentha viridis 英名:spearmint、common green mint)は、南欧原産の多年草で、草丈30~100cmで、全株に甘い香りを有してさわやかで透き通るような清涼感が特徴です。地下の匍匐茎から方形の茎を伸ばし、葉は楕円状披針形でやや紫色を帯びています(写真①)。9月頃に穂状花序を頂生して、紫色または白色の小花を輪生します(写真②)。本種は、歴史的に他種よりはるかに古くギリシア神話の時代から知られていて、葉には精油を約0.7%含んでいて、主成分はカルボン約55%です。感冒、咳嗽、頭痛、胃・腸の脹痛、月経痛などを治す効果が知られています。

セイヨウハッカ(M. x piperita 英名:peppermint)は、ミドリハッカと西アジアなどに原産するミズハッカの交配種です。全株無毛であることと(写真③)、花を茎頂の枝先に穂状につけることから(写真④)、他の種類と容易に識別できます。開花直前に収穫された葉(ペパーミント)には精油を約1%含み、メントール含量は低いものの、シャープで刺激的な清涼感を有して日本人好みです。消化を助けて下痢や便秘を防ぎ、胃痙攣を抑えます。主な作用としては、駆風(お腹のガス抜き)、痙攣の緩和、抗菌、発汗促進、胆汁分泌促進などがあり、また精神的な疲労を和らげて鎮静する作用もありますが、粘膜への刺激が強いので、特に幼児への使用は避けてください。

ところで、ハッカ(M. arvensis var. piperascens 英名:Japanese mint)は、アジア東部の温帯に広く分布し、日本各地のやや湿った土地にも自生しています。明治期には北海道北見市で大型水蒸気蒸留装置(写真⑤)を備えた精油抽出工場が稼働して、ハッカ油は重要な輸出品目として世界シェアの7割を占めました。今では北見ハッカ蒸留記念館(写真⑥)でその歴史を学ぶことができます。

生薬「薄荷」はハッカの地上部を開花前に刈り取って乾燥したもので、発汗、解熱、鎮痛、芳香性健胃、駆風の効があります。中枢抑制、血管拡張などの効果もあり、風邪の熱・頭痛・めまい、あるいは熱射病による頭のふらつきや発熱・口渇などに対して、粉末大さじ1杯くらいに熱湯を注いで服用します。また浴湯料として疲労回復、腰痛などに用います。

写真①
ミドリハッカ(2019.6.4.撮影)
写真②
ミドリハッカの花
写真③
西洋ハッカ(2019.6.4.撮影)
写真④
西洋ハッカの花
写真⑤
ハッカ蒸留装置
写真⑥
北見ハッカ蒸留記念館

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