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雪の中から顔を出し、今が見頃のザゼンソウ

極寒の中、いち早く周りの雪を溶かしてポッコリ顔を出すのがザゼンソウ(Symplocarpus foetidus)の花です(写真①)。葉を展開する前に、長さ8~20cm、幅5~15cmで紫褐色の仏炎苞(ブツエンホウ)という特殊な形状の器官に包まれた、長さ約2cmの肉穂花序をつけます。和名は、仏炎苞と中の花序を“座禅する僧の姿”に見立ててつけられたものです。その苞葉は、稀に淡紫色、緑色または白色、時には濃褐色の斑点を有する個体も存在しています。雌花の成熟期になると、雌しべは23℃ほどに発熱することが知られています(写真②)。北海道から本州の日本海側に分布し、谷間の陰湿地に生育する多年草です。滋賀県高島市今津町弘川地区にある湧水湿地の群生地は緑地環境保全地域に指定され、周辺住民によって手厚く保護・保全されています(写真③)。例年であれば2月下旬~3月中旬がちょうど見頃ですが、今年は雪が少ないので2月上旬から見ることができそうです。

周囲にはモウソウチクのほかタブやハンノキなどが混在して生えています。花は独特の形状を呈しています(写真④)が、ハエの仲間に受粉を手伝ってもらうために何とも形容しがたい腐臭を放っています。決して鼻を近づけないでください。なお、北米東岸にもアメリカ種が分布していますが、こちらは英名で“スカンク・キャベツ”と称されますから、その臭いの酷さが想像できるでしょう。各地で問題となっているシカもこの植物だけは食害しないほどですよ。一方、同じサトイモ科の植物にミズバショウ(Lysichiton camtschatcense)があります(写真⑤)が、こちらはシカによく食べられるようです。

大きな葉2~7枚を根出し、葉身は円心形で先端が尖り、基部は心臓形で長さ・幅ともに30~50cm。葉身とほぼ同じ長さの太い葉柄があります。また地下には意外に大きな根茎があって、乾燥した根茎を「日本臭菘(シュウスウ)」と称し、去痰、利尿、鎮痛、催吐薬として喘息や気管支炎などに用いられます。

写真① 雪の中から芽生えたザゼンソウの花
(2012. 2.28.撮影)
写真② 花の模式図
写真③ ザゼンソウ保護の看板
写真④ 座禅する僧に見立てた花容
(2012. 2.28.撮影)
写真⑤ 尾瀬沼のミズバショウ
(2003. 5.31.撮影)

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