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トピックス4月(卯月)の情報
窓あけて窓いっぱいの春
山頭火
待ち焦がれた春。山頭火も感嘆したように、窓の外いっぱいに春本番の到来です。ぽかぽか陽気に誘われ草花たちがいっせいに芽吹き、春が彩る薬草園は装いを新たにしています。
コロナ禍で家に閉じこもりがちな中、麗らかな陽差しのもと華やぐ春の風情に触れてみてはいかがですか。
身も心も解き放たれ、夢見心地の境地へあなたを誘うことでしょう





トピックス4月の開花情報
4月の開花情報 (東玄関の奥から)
① シマテンナンショウ(サトイモ科特有の仏炎苞、緑白色の素心花)
② フタバアオイ(葉陰にひっそりと咲く、暗茶褐色、葵祭の頭挿し花に利用)
③ 黄花イカリソウ(山草として人気、船の錨に似た花形で淡黄色、唯一の薬用種)
④ アミガサユリ(茶花向き、虚無僧の編み笠に似た花形で、内側が淡紅色の網目模様)
⑤ キンセンカ(金色の盃状の花形、花期が長いので、学名は1ヵ月を指す言葉)
⑥ サンシュユ(早春の花材、淡黄色、秋に赤熟する果肉に強壮効果あり)
⑦ レンギョウ(詩人・高村光太郎が愛した、早春の花、黄色花)
⑧ クサボケ(日本特産種、朱赤色の花、秋に黄熟する果実酒が美味しい)
⑨ 天台ウヤク(秦時代の徐福伝説で有名、黄褐色、雌雄異株) など
トピックスオウレン種子の催芽処理に成功
オウレン類は雪を割るような形で早春に開花して、種子は5月の連休前後に黄熟しますが、その時点では胚が未熟ですから、そのまま播いてもまったく発芽しません。また種子を内包する袋の端が綻びた状態となっており、これは原始的な形質とされるためオウレン属植物は植物系統樹の土台部分に位置付けされています。
オウレンの種子を追熟させるには恒温・恒湿の特殊な条件下で半年間ほど貯蔵する必要があり、その条件をクリアーするのはなかなかで、きわめて至難の技法となっています。
そこで、昨年5月15日に採取したタネを、市販の育苗箱に赤玉土の小粒を入れ、その上を腐葉土で薄く被ってタネを中央部分に置き、その上に厚さ5㎝の腐葉土と3㎝の培養土を上乗せして、サンシュユの葉陰に設置しました。3月11日に上乗せした培養土と腐葉土を除去しておいたところ、4月5日に無事に発芽しているのが確認され。さらに今後とも追々発芽してくると思われますので、今回の催芽処理は大成功です。これで、薬草園におけるオウレンの継代栽培が可能になりました。


トピックス3月(弥生)の情報
万物は日に新た
若狭路に春を呼ぶ千二百年余の歴史を誇る伝統行事、奈良東大寺二月堂(若狭井)へのお水送りが、3月2日小浜市において厳かに執り行われました。
暦のうえでは、冬籠もりをしていた虫や草花が、やわらかな陽光に誘われ顔を出す「啓蟄」です。
薬草園では、厳しい冬を乗り越えたセリバオウレンが、他の薬草よりひと足早く可憐な白い花を咲かせています。
万物は日に新た。冬から春へ季節の移ろいを教えてくれています。



トピックス桃の節句にまつわる植物
3月3日は桃の節句。まだ野外の開花には早く、枝を加温開花させて出荷されます。旧暦なら他の花も咲くのに、モモを特別扱いするのは中国の陰陽思想が影響したものと見られます。モモの花は陽で、陰を祓う力があり、中国では鬼がモモを嫌うとされていました。古代中国において辰3月上巳(3月の第1巳の日)に水辺でお祓いをして、酒を飲み詩を歌う習俗があり、それが伝わって日本でも女の子を悪鬼や邪悪から守る願いで桃を飾ったものかもしれません。平安時代には日本独自の民俗が付け加えられ、人形(ヒトガタ)を川に流して厄払いすることが行われるようになりました。この人形が工芸品として発達し、雛人形となったのですが、雛祭りが正式に3月3日の行事とされたのは江戸時代からです。
『古事記』の話。国造りを終えたイザナギは、亡くなった奥さんのイザナミに会うため黄泉(ヨミ)の国へ行きますが、8種の雷を体にまとった奥さんの姿を見て逃げ出しました。その後を死者の国の忌まわしい女達が追いかけてきたので、イザナギは髪飾りを投げたところ、これがノブドウになって女達が食べ出した。しかし、さらに追いかけてくるので、今度は櫛を投げるとタケノコになり、それを女達が食べている間にようやくあの世とこの世の境・比良坂にたどり着いた。そこの登り口に実っていたモモの実を3個投げると、女達は皆逃げていきました。そこで、イザナギはモモの実に「私を助けてくれたように、今後人々が苦しんでいる時は助けなさい」といって、“オホカムヅミノミコト”という神様の名前を与えたという。モモの実に入って流れてきたモモ太郎は、案外このモモの神様の子孫なのかもしれませんね。この古い民族信仰は今でも雛祭りの桃酒や桃花湯などとして残っています。
薬草園には植栽されていませんが、モモ(Amygdalus persica)はバラ科の落葉小高木で、中国・黄河上流域の甘粛、陜西(センセイ)地方の高原地帯が原産地です。日本には縄文以前に渡来して古くから栽培されていましたが、それは頭の尖った天津桃と呼ばれる北支系のもので、果実が小さく果肉の堅いものでした。近代のモモは明治初期に導入された中支系の品種「上海水蜜桃」や天津種などに改良を加え、また欧州種を交配して育成された品種で、頭は平らです。
硬化した核の中にある種子が「桃仁(トウニン)」で、消炎、鎮痛、緩下を目的に桂枝伏苓(ケイシブクリョウ)丸などの婦人薬に配合されています。また抗炎症、抗凝血、血小板凝集抑制、駆瘀血作用などがあり、下腹部の痛み、腹部の血液停滞、月経不順など主に下半身の病を治すお薬です。さらに、シロバナモモの開花直前の蕾を採取して乾燥したものが「白桃花」で、利尿、緩下薬として利用されます。民間では葉を「桃葉」と称して、腹痛や下痢に服用したり、土用の一日を桃葉湯にする習慣があってアセモ取りの妙薬でもありました。




トピックス2月(如月)の情報
木の根あく
立春を迎え、暦の上では春ですが、底冷えするほどまだまだ寒い2月。
この寒さがあるからこそ、春を待ちわびる気持が一層高まります。
薬草園では、雪が溶け木の根があきボタンが芽吹き、春はもうすぐそこまで来ています。
薬草園を訪ね小さな春を見つけて下さい。日々の慌ただしさの中に、ほっと息つくひとときがきっとそこにあります。


トピックス節分の日にまつわる植物
お正月が過ぎると世間は一気に「節分モード」に変わります。昔は季節の変わり目の前日を“節分”と呼び、新しい年が始まる「立春」の前日に精霊が宿るとされた穀物・炒った大豆(福豆)で邪鬼(病気)を祓って健康を祈願しました。実は、福豆を年の数+1個余分に食べると体内からも病気を追い出すとされています。また「福茶」として飲むことも一興ですし、食べることを前提に「殻付き落花生」を撒くこともあります。7つの具材を使った巻き寿司を、その年の恵方(陰陽道でその年の福徳を司る年神様がおる方向、今年は「北北西」)に向かって食べることは江戸時代末期から関西を中心に流行していたようですが、「恵方巻」の呼び名は1989年にセブンイレブンが宣伝文句として採用し、次第に認知されるようになったもので、比較的新しいですね。その他、縁起の良い節分の食べ物としては、食物繊維が豊富で体内をきれいにする「こんにゃく」、鬼が嫌う臭いを発する焼きイワシの頭部を、鋭い刺があるヒイラギの枝に刺して戸口に置きます。さらには冬から春への年越しに“蕎麦”を食べる地方もあります。
その節分の頃に可憐な白花を咲かせるのがキンポウゲ科のセツブンソウ(Eranthis pinnatifida)です。関東以西~広島県の石灰岩地域に多く見られる日本固有の多年草で、雪を割って芽生えた後、5月の連休後には地表近くに径1㎝ほどの球茎を更新してサッと地上部がなくなる、典型的な”春植物”です。山裾や田の畔などのごく限られた傾斜面にしか見られないので、環境省から準絶滅危惧種に指定されています。近隣の自生地としては滋賀県米原市大久保(奥伊吹山麓)が有名で、例年2月中旬頃が見頃となりますが、今年の開花と“ふれあい祭り”の期間はネット検索でご確認ください。雪深いところですが、近くには伊吹そばの専門店もありますので、一度出掛けてみてはいかがでしょう。




トピックス1月(睦月)の情報
新たな1年の始まりです。薬草園が昨年暮れの思わぬ大雪で、白い綿を身にまとったように覆われ、冬の陽ざしに輝いています。
薬草たちは雪の下でじっと我慢の冬籠もり、春を迎える準備中です。
いつもと違う静寂に包まれた薬草園を覗いて見て下さい。寒さを吹き飛ばす、何か新しい発見があるかも知れません。



トピックスお正月に飲む「お屠蘇」とは?
「お屠蘇(トソ)」は、古来より正月の行事に欠かせない薬酒としてなじみ深く、「お屠蘇気分」の言葉もあるくらい広く日本人の間で親しまれています。本来、病気の予防や保健のために用いられた“くすり”が、日本へ伝わってから形式化し、新年の縁起を祝って1年間の病気払いのおまじないとして飲まれるようになったものです。
中国・魏(ギ)の名医であった華陀(カダ)が創製・処方した薬酒で、蘇(ソ)という病を起こす鬼を屠るという意味で名付けられました。一切の病の根源となる悪気や体内に蓄積された食毒を取り除き、延年長寿の効力があるとされています。
日本では、嵯峨天皇の弘仁年間(810~824)に唐の蘇明が和唐使として訪れた際、「屠白散」と称する霊薬を天皇四方拝の儀式に献上されたのが始まりです。その後宮中での仕様が民間にも広まり、元旦に息災を祝う意味で用いられるようになりました。白朮(ビャクジュツ)、山椒など消化機能を回復する薬と、桂皮、防風、桔梗根など寒さから身を守る薬で構成されています。運動不足で食べ過ぎ状態になっている時の消化を助け、また風邪に対する効果があるので、飲み過ぎや食べ過ぎには年中飲んでもいい方剤でもあり、また風邪は万病の元といわれるだけに寒い季節にこれらの生薬が使われる意義があります。特に、正月早々から一人一人が自分の身体を気遣うことができれば、「年中、無病息災でいられる」ことに繋がるというのが元来の意義です。
正しい漢方処方名は「屠蘇散(トソサン)」で、“散”とは構成生薬の中に揮発成分などを含むものが配合されていて、加熱して煎じる(このような方剤を「湯」と称する)とそれらの成分が散逸して効果の無くなる可能性があるため、本来は粉末のまま服用することが原則です。儀式の場合は、加熱する代わりにお酒でアルコール抽出することで、揮発成分をそのまま溶け出させて利用することになります。
雑煮を祝う前に、年少者から年長者の順に、新年の縁起と長寿を祈念して飲む“習わし”となっています。コロナ禍だからこそ、この正月に相応しい飲み物ではないでしょうか ?
屠蘇散の原材料となる基原植物は、すべて薬草園に植栽されていますよ。冬の晴れ間に薬草園を散策しながらそれら一つ一つをご確認ください。


トピックス12月開花情報(見どころ)
師走。
コロナ禍で我慢や不安が交錯した1年も、もうすぐ終ります。
四季折々に表情を変える薬草園は、多くの方に癒しの空間を提供してきました。
この時季、薬草園は新しい年に向け冬支度に入ります。
厳しい冬を乗り越えた先に、春の芽生えがあります。
来年もみなさんの生活に潤いをもたらす薬草園でありたいと願っています。
1.12月の見どころ情報 東玄関の奥側から
①キンセンカ(冬咲きの貴重な草花、乾燥花を肝機能の改善薬に利用)
➁キョウオウ(春ウコン)の冬越し(防寒キャップは初めての試み 成功すれば、2年連続で花茎の出現が期待できる)
③アマハステビアの冬越し(南米のパラグアイ原産、鉢上げ後に防寒キャップを設置)
④トウゴマの越冬なるか ?(南方産の植物で、小浜はぎりぎりの気候)
⑤ウコンの冬越し(防寒キャップは初めての試み)
⑥レモングラスの冬越し(毎年の景観、5月連休過ぎに萌芽予定)



