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お知らせ(毎月、更新中です)

トピックス2022年7月(文月)の情報

山滴る。

ギラギラと照りつける太陽が眩しい夏本番を迎えました。
今年はこれまでにない異例に早い梅雨明けでした。   
薬草園の南側に佇み、万葉集にも詠われた後瀬山は、若葉から深い緑に包まれ、水が滴るように美しい姿を見せています。
薬草たちも夏の陽ざしをたっぷりと浴び、瑞々しく輝いています。
七月といえば、京都の祇園祭です。千年以上前に疫病退散を願って始まった由緒ある祭。今年は、3年ぶりに山鉾巡行が行われます。小浜城下の産土(うぶすな)神(かみ)である廣嶺神社の祇園祭も、慶長年間から災厄を払いのける催事として伝わります。
コロナ禍の中、人々が紡いできた夏の風物詩に思いを馳せながら、自分のお気に入りの薬草を見つけてみるのも、楽しみ方の一つです。

廣嶺神社の祇園祭
ムラサキバレンギク
ムクゲ
チヨウセンアザミ
オミナエシ

トピックス7月の開花情報

7月の開花情報  (東玄関の奥から)
① 紫バレンギク(キクに似た紫紅色の大輪、乾燥花向き、火消しの“まとい”に似た花形)
② トウキ(レース様の白花が次々と咲く、葉には特有の香り)
③ ムクゲ(白花と紫桃色花の2品種、一日花)
④ ローマカミツレ(可愛い白花が次々に咲く、黄色のドーム部にリンゴの香り)
⑤ サボンソウ(白花と紅桃色の2種類、根に泡立つ成分がある)
⑥ ハマボウフウ(砂浜に咲く白花、褐色の種子をつける)
⑦ ウイキョウ(黄色の小花、種子はハーブ名:フェンネル)
⑧ ウツボグサ(青紫の穂花で、もう茶褐色となっている⇒夏枯草(カゴソウ)、利尿効果大)
⑨ サジオモダカ(水生植物、白色の小花が次々に毎日咲く、一日花)
⑩ トウゴマ(大きな赤褐色の葉が目立つ、葉陰に黄色の房咲き)
⑪ オニユリ(橙黄色の花、秋に肥厚する鱗茎が茶碗蒸しの具材)
⑫ 黄金オニユリ(対馬産の絶滅危惧種、黄金色のユリ花)
⑬ ハトムギ(果実が茶材となる、目立たない黄緑色の花)
⑭ 西洋ノコギリソウ(赤花と白花があり、葉がノコギリ状)
⑮ オミナエシ(黄色の花、秋の七草の一つ、根に特有の臭い)
⑯ ヘンルーダ(黄色の花、全草に特有の臭いがある) など

トピックス対馬特産の絶滅危惧種・黄金オニユリ

オニユリの鱗茎は茶碗蒸しの具材とされますが、熱湯をかけて陽干しにしたものが生薬の「百合(ビャクゴウ)」で、精神の安定を必要とする複雑な症状の改善に極めて有効です。三倍体で種子ができない代わりに、葉腋に黒紫色、豆粒大の“珠芽(鱗芽)”=むかごを着けるのが特徴です。これは葉が肉質の鱗片状になったものですね。土に埋めて育てれば、3年ほどで小苗になります。

盛夏の頃、茎頂にたくさんの橙赤色花をつけます。もともと中国原産で、古い時代に我が国に持ち込まれて野生化したと考えられています。平成30年(2018)7月に蘇洞門巡りをした際、岩の間にたくさんの花が咲いているのを見かけました(写真参照)。

秋に球根を植えると、下部から植物体を支えるための太い「下根」がたくさん出ます。春、茎が伸びると、球根の上部に養分を吸収するための細い「上根」が横に拡がります。したがって、球根高さの3~4倍の深さに植え付け、その上を肥料分の多い土で覆ってやると、新しい球根がよく肥大することになります。これは他の観賞用のユリでも共通の育て方ですから、覚えておくといいですよ。

薬草園には鮮黄色の花を着けるオウゴンオニユリが植えられています。江戸時代の『本草図譜』(1828)に記載されているものの、その後時を経て長崎県対馬の女県(メガタ)地区にのみ特産する種類となっています。そこで採集されたものが小石川植物園で栽培され、牧野富太郎博士が1933年に命名・発表されたという“代物”です。原産地の不明な謎のユリですが、平成9年(1997)5月、日本植物園協会の技術者講習会で対馬の植物調査が行われた際、渡辺がある農家の庭から1株を譲り受けて増殖したものです。茎が30㎝ほどに伸びていたので、折らないよう持ち帰るのに大変苦労しました。写真に見られるように7月には見事な花が咲き、その後採取した珠芽を講習会参加園に無事配布することができた思い出深い植物です。

ユリ根黄身スープの作り方;(不眠・いらいら・精神不安など更年期障害の改善に)
① ユリ根4個は、ほぐして水洗いし、水600mlに固形スープ1個、塩・胡椒を少々加えて、軟らかくなるまで煮ます。
② ミキサーにかけるか、汁ごと裏濾しします。
③ 鍋に戻して再度弱火で温め、溶きほぐした卵黄を加えたら直ぐに火を止めます(直ぐに止めないと、舌触りが悪くなりますよ)。

写真① 蘇洞門巡りで見かけたオニユリ
(2018.7.12.撮)
写真② 対馬から持ち帰った株が開花
(1997.7.13.撮)
写真③ 葉腋にできた黒紫色の珠芽
(2022.7.01.撮)

トピックス2022年6月(水無月)の情報

紫陽花に雫あつめて朝日かな
                加賀千代女
夏めきて水無月麗し。間も無くしとしとと、雨が降り続く季節を迎えます。

恵みの雨を受け万物が伸びやかに育ちます。雨上がりの朝、水滴を身にまとった薬草たちが、初夏の陽ざしにキラキラと輝いています。  

梅雨の晴れ間をぬって、薬草園を訪れてみて下さい。いつもと違った美しい光景に、蒸し暑さも吹き飛んで心癒されることでしょう。

カワラナデシコ(ナデシコ科)
アマチヤ(アジサイ科)
マグワ(クワ科)
クチナシ(アカネ科)

トピックス6月の開花情報

6月の開花情報  (東玄関の奥から)

① ドクダミ(全草に特有の香り、十字形の白花、茶材としての収穫期)
② 紫バレンギク(紫紅色の大輪、火消しの“まとい”に似た花形、ドライフラワー向き)
③ キンセンカ(盃状の黄金色、開花期が長いのが特徴)
④ トウキ(レース様の白花、葉には特有の香り、根が薬用)
⑤ ローマカミツレ(宿根草、黄色のドーム部にリンゴの香り、白色は萼片)
⑥ カワラナデシコ(秋の七草の一つ、野生種はピンクの花)
⑦ カレープランツ(全草にカレー臭、花は黄褐色、乾燥してポプリに利用)
⑧ クチナシ(白花で、甘い芳香を放つ)
⑨ ウツボグサ(青紫色の穂状花、開花後にすぐ褐変、花穂が茶材)
⑩ アマチャ(アジサイの仲間で、滋賀県朽木辺りのスギ林下に散見)
⑪ ジャコウソウ(ハーブ名:タイム、茎葉に触れると特有の芳香)
⑫ クララ(草原に自生、黄白色花、枝葉はかつて蛆虫殺しで便所に投入)
⑬ 薬用サルビア(薄青色の花、葉をソーセージに利用、ハーブ名:セージ)
⑭ ベニバナ(咲き始めは黄色で、後に紅色に変化する、婦人用の漢方薬)
⑮ ウスベニアオイ(ビロード色の花、夏を代表する庭の花、茶材)
⑯ 西洋ノコギリソウ(赤花と白花があり、葉がノコギリ状)
⑰ 朝鮮アザミ(ハーブ名:アーティチョーク、青紫色の花、花托が食用)
⑱ ラベンダー(薄青色の穂状花、花と茎葉に特有の精油を含む) など

トピックス今はアマチャの花が真っ盛り !!

薬草園の中央付近ではアマチャ(Hydrangea serrata var. thunbergii)の花が見頃を迎えています。アジサイの仲間で、本州の山中に稀に自生する落葉低木ですが、この時期は滋賀県高島市朽木や甲賀市信楽のスギ林の下草として薄青色の花が目立ちます。花序の周囲に4枚の蕚(ガク)片が発達した装飾花(中性花)をつけています。

9月に地上10cmくらいのところから刈り取り、葉と枝先を摘んで水洗し、約2日間陽乾した後、これに水を噴霧して、1日積み重ねて発酵させます。よく揉んで乾燥したら“甘茶”の出来上がりです。甘味成分はフィロズルチンで、砂糖の1,000倍の甘さがあるとされています。

旧暦の4月8日に釈迦の降誕を祝して行われる「灌仏会(カンブツエ)=花祭り」では、お参りする時に釈迦像の頭上から甘茶湯を注ぎ、また参詣者はその甘茶を持ち帰り、それで墨をすって「千早振る卯月八日は吉日よ神さけ虫を成敗ぞする」の歌を書き、便所などに張って“虫除けの呪い”としたようです。

ただ、近縁種であるアジサイの葉には青酸配糖体のアミグダリン様物質が含まれていて、葉1枚でも食べると、体内の酵素と反応して有害なシアン化水素(青酸)が生成され、嘔吐やめまいなどの中毒症状を引き起こす可能性があります。この時期、料理の飾りとしてアジサイの葉を使わないでくださいね。

なお、アマチャについては、薬草園ホームページの「薬草のご紹介」でアマチャの項をご参照ください。

トピックス2022年5月(卯月)の情報

    目には青葉 山ほととぎす 初鰹
                      山口素堂
爽やかな薫風が頬に心地よい季節となりました。
初夏の陽光が燦々と降り注ぎ、新緑まばゆい薬草園はいま最も美しい時期を迎えています。青空のもと、生命力溢れる薬草たちの息遣いを感じ取って下さい。心躍る新しい魅力に気づけるかも知れません。

平成25年(2013)5月に開園した薬草園は、今年9周年を迎えました。シンボルツリーであるヒポクラテスの木(スズカケの木)の、見事な枝振りをはじめ、110種類におよぶ薬草・ハーブが四季折々に華やかに彩り、多くの患者さんと市民の皆さんの憩いの場となっています。

来年の10周年には、コロナ禍を心配せずに「薬草に親しむ会」などの記念イベントが出来ることを願っています。

新緑まばゆい薬草園
アマの開花
シャクヤクの開花

トピックス5月の開花情報

5月の開花情報  (東玄関の奥から)

① 山陰カンアオイ(株元に暗茶褐色の花を開く、新葉はギフチョウの餌料)
② アマドコロ(葉に白斑入り、葉裏に鐘形の白花をつける)
③ カミツレ(白花、花後に盛り上がる黄色の花托を摘まむとリンゴの香り)
④ アマ(薄青色の花は日の出とともに開き、午後には萎れる一日花、種子から亜麻仁油を搾る
⑤ 西洋ワサビ(白色小花、根茎の薄切りがローストビーフの必需品)
⑥ カラスビシャク(緑色の仏炎苞という特異な形の花、庭や畑の雑草、地下に小球根あり)
⑦ 八重咲きドクダミ(大鉢植え、八重白色の小花、茎葉は乾燥して茶材)
⑧ シャクヤク(奈良に伝わる薬用種の「梵天」、淡桃を帯びる白色花、根も白色)
⑨ ルリヂシャ(青色(マドンナブルー)または白色の星状花、キュウリのような風味で生食できる)
⑩ 実成りのマグワ(中国から渡来した種で、特に実成りが良い選抜個体、暗紫色に熟する) など

トピックスショウブは“尚武”に通じる厄除け

何事もタイミングが大切で一日遅れても意味がないという例に「六日の菖蒲、十日の菊」という諺があります。菖蒲は端午の節句(旧暦の5月5日)のもの、菊は重陽の節句(同9月9日)のものということの強調ですが、とりわけ前者は”薬”と縁が深いものです。すなわち、古い時代の宮中行事で、薬用とするために鹿の袋角を採る狩猟を二隊で競いました。この行事は後に流鏑馬(ヤブサメ)につながり、今もって古い神社などの儀式として残されていますが、そのことに端を発して5月5日を薬草採集の日としたことから、その行事を「薬猟(狩) (クスリガリ)」と呼ぶようになりました。一方、船の進水式などで用いられる「くす玉」は、元来「薬玉」が語源で、これは宮中で邪気を祓う香薬を入れた玉に、ショウブやヨモギをあしらい、東西の柱に架けたことに由来するものです。そもそも、端午の節句にヨモギとショウブを軒下にぶら下げる風習は、古く中国から伝わったもので、それぞれ特異の芳香があって「神を招き、悪霊を祓う力がある」と考えられてきました。またショウブの葉は長剣に似ており“尚武・勝負”に通じるからともされています。元来は『女の家』といって、5月田植えの前に邪気を払う『忌みこもり』の行事として、田植え女がショウブとヨモギで屋根葺きした小屋にこもる習慣があり、それが変化した形と考えられます。

ショウブ(Acorus calamus)は暖温帯の湿地に広く野生する多年草で、全草に芳香があり、根茎は太く、葉は長剣状で、長さ50~90cm、中央にははっきりとした中肋があります。5~6月、葉の中ほどに円柱状の肉穂花序を出して多数の淡黄緑色の花を密生します(写真参照)。これまではサトイモ科に分類されていましたが、最近の遺伝子解析によってショウブ科(新設)に属しています。

その根茎を乾燥したものが「菖蒲根」で、鎮痛、鎮静作用などがあり、芳香性健胃薬として内服されています。また神経の緊張をほぐし、血行を良くして身体を温める効果があるので、「浴湯料」としても多用されています。欧米でも”Rizoma Calami”の名で広く薬用にされているようです。なお、ショウブと云えば水辺に咲くハナショウブ(Iris ensata var. ensata)を思い浮かべる方も多いと思いますが、これはアヤメ科の植物でまったくの別物ですね。

一方、ヨモギ(Artemisia iprinceps)は各地の山野で普通に見られるキク科の多年草です。地下に根茎が横走し、さらに匍匐茎を出して伸び、各所から芽を出して拡がることから「佳萌草(ヨモギ)=佳く萌える草」と呼ばれ、また一説では良く燃えることから「良燃草(ヨモギ)」ともされています。
 葉の乾燥したものを「艾葉(ガイヨウ)」と称し、主に月経過多・不正出血、妊娠中の腹痛、膀胱炎、痔の出血、血尿などに利用されています。また浴用剤として風呂に入れ、腰痛や冷え症、痔の治療に用いられています。さらに、野外でのちょっとした外傷には生の葉を揉んだ汁が有効です。傷口が少しだけ「ピリッ」としますが !! (なお、ヨモギについては別の機会に詳しく解説する予定です)

ショウブ・ヨモギの軒飾り(ネット画像)
ショウブの花序(黄色の粒々が花)(ネット画像)

ニュースヒポクラテスの木 福井大学医学部へ

中川淳庵顕彰薬草園のヒポクラテスの木(コス島由来の「1995年株」)が、4月28日に福井大学医学部構内に植樹されました。渡辺アドバイザーにより‘“取り木”の手法(2021年4月のお知らせ欄トピックス 「取り木」でクローン苗づくり 参照)で増殖された個体です。
写真左端の添え木の下部、60センチほどの苗木です。右の2本(大阪公立大学植物園より)とともに、3本同時に植樹されました。「医聖を慕う者の志の成就を願う」旨の碑文が添えられています。(写真:左から2人目、内木宏延副学長、3人目、藤枝重治医学部長)

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