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チョロギ・お節料理の飾り食材

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特徴

 チョロギ(Stachys sieboldii)は、中国原産の多年草で、「甘露子」などと呼ばれて700年以上も前から栽培され、日本へは300年前に朝鮮半島を経て渡来しました。茎は四角、葉は対生で毛があります。秋に淡紅紫色の小花を多数つけます。花が終わる頃から分岐した地下茎の先に白い塊茎を作ります。塊茎は節でくびれ、節間が膨らんで連珠のようになり、両端は細くなります。花の可憐さに似合わず、塊茎は虫や巻き貝にも見える奇妙な形で、植物界広しといえども珍草に属するのではないでしょうか。中国では、繭を作る直前の縮まった蚕(熟蚕)に似ていることから「草石蚕」とも呼びます。一方、和名は朝鮮での呼び名ジロイ(ミミズの意味)から転訛したものとされ、千万(チヨロズ)に通ずるところから正月の縁起料理とされたものらしく、「長老喜」と書き表します。

 12月頃に掘り取った塊茎には澱粉がなく、4糖類のスタキオースを約60%含んでいます。つまり、天然オリゴ糖の塊ですから、1日2~3gを食べると無理なく便秘が解消されます。また抗酸化作用があり、身体や皮膚の老化予防にも効果的です。最近、数種の成分が「低酸素状態の衰えた脳細胞を活性化する」と報告されています。塊茎は収穫後まず塩漬けにし、それをいろいろな味に漬け込んでいく。梅酢で赤く染めるほか、塩、酢、蜜に浸けてお正月のお節料理や精進料理として賞用します。