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サフラン・最も高価な香辛料

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特徴

 サフラン(Crocus sativus)は、地中海沿岸から小アジアに至る地域を原産地とするアヤメ科の球根植物で、クロッカスの仲間では唯一秋に花を咲かせる種類です。不稔性の三倍体で、扁球形の肥厚した径3~4.5cmの球茎を持ちます。11月頃、6深裂した淡紫色の花を開き、雄しべは黄色で3本、雌しべは鮮かな橙赤色の1本で、上部で深く3つに分枝して下垂します。先端はややラッパ状に広がり、乳頭状突起があります。葉は多数叢生し、花後伸長して長さ30~40cmとなります。

 「サフラン」は、畑で肥大させた球茎だけを室内で開花させ、摘み取った柱頭部を乾燥したもので、長さ2~3cmの細い糸状です。雌しべ約1万2千本が25gで市価は約1万2千円、したがって雌しべ1本が1円であり、香辛料としては一番高価です。ただし、幸いなことにサフランはほんの僅かで充分な効果を発揮します。花1個分(0.1g)で10㍑の水を黄色に染めることができ、スペインのパエリア(炊き込みご飯)やフランスのブイヤベースなどの料理は有名ですね。また薬用としては鎮静、鎮痛、通経、健胃などの作用があり、温湯に浸して服用したり、婦人用薬などに配合されています。化粧品の着色料にも利用されています。