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トピックス12月の開花情報
12月の開花情報 (東玄関の奥から)
① キンセンカ(冬咲きの貴重な草花。乾燥花を肝機能の改善薬に利用)
② 葉ボタン(年末から年始を飾る紅白の草花)
③ ノゲイトウ(ケイトウの原種で紅白の二段花、紫紅色の葉がよく目立つ)
④ アマハステビア(南米パラグアイの原産で、やや寒さに弱い。天然甘味料)
⑤ クチナシの果実(御節料理の添え物に欠かせない“栗きんとん”の着色料)
⑥ トウゴマの越冬なるか ?(暖地性の木本植物で、小浜が生死ぎりぎりの気候のため)
⑦ ウドの黒い果実(小鳥の餌となる。春の新芽が山菜として人気がある)
⑧ クサボケの果実(朱紅色の美花で、果実は黄熟する。クエン酸が豊富で果実酒向き)
⑨ メボウキ(白花。ハーブ名・バジル。各種の料理に使われる)
⑩ フジバカマの残り花(万葉期からの芳香材、光源氏も愛用か?) など
トピックスカボチャ料理と柚子風呂で湯治(冬至)を!!
二十四節気の一つ、1年で夜が最も長く昼間の時間が短い日が冬至で、今年は12月22日がその日に当たります。中国や日本では、陰が極まって陽に転ずる日「一陽来復」と呼ばれ、厄除けや運気上昇に関する行事が行われてきました。食べ物では「運」に通じるよう「ん」が二つ付くものは縁起が良いとされ、南京(カボチャ)、蓮根、人参、銀杏、金柑、寒天および饂飩(ウンドン)が「冬至の七草」と呼ばれる食材です。カボチャを食べる風習は江戸時代から続いています。本来夏の野菜ですが、長期保存ができるため、冬に栄養を摂るための暮らしの知恵でもあったようです。また江戸時代から続く「ゆず湯」もその一つで、「冬至」を「湯治」、「柚子」を「融通」に洒落たもののようです。
ユズは中国・揚子江上流の原産で、大木になる常緑樹です。「モモ・クリ3年、カキ8年」の最後に付くのが「ユズの大バカ18年」で、実生から育てると果実が稔るまでに長い年月を要するのです。その実生ユズ(写真①)の栽培・生産に拘ったのが、国産ユズの栽培発祥地とされる「水尾の里」です。京都市右京区の北西部(嵐山の左上)に位置し、愛宕山の麓です。最寄り駅はJR山陰本線の保津峡駅(写真②)になります。1日5往復運航している自治会バスに乗って10分ほどで宿に着きますが、事前予約すれば民宿の送迎車を利用することもできます。民宿で柚子風呂を楽しんだ後、京都地鶏の水炊き鍋が堪能できますよ(写真③)。
ユズの果汁と果皮がそれぞれ役立つことはよく知られていますが、大量に残るタネには水溶性の食物繊維である多糖類のペクチンが豊富に含まれています。水洗いしないまま容器に入れ、約3倍量の焼酎またはホワイトリカーを注ぎ入れて冷蔵庫で1週間置いた後、液体がとろっとしてきたら天然化粧水の出来上がりです(写真④)。風呂上りなどに約1ヶ月間利用することができます。一方、ザルで濾し取ったタネは、茶袋に適当量を詰めて風呂に浮かべると、湯上りが肌しっとりになります。ユズは捨てるところがないのです。
ユズが結実まで20年ほどもかかるのに対して、近縁種のハナユは苗を植えてから1年で結実することから「一才ユズ」、トゲが多くないことから「刺無しユズ」、果実が樹に長く着いたままになることから「トコユ(常柚)」などとも呼ばれます。葉の濃緑に清楚な花の白さが際立つ常緑中低木です。果実は径3㎝ほどで約40gと小さく、香りもユズほど強くはないのですが、とにかく多産で毎年たくさんの果実を収穫できます(写真⑤)。そこで、果肉をくり抜き、その果汁に適量の砂糖とゼラチンあるいは寒天を加えて溶かし、果皮を器としてその果汁を流し入れ冷蔵庫で固めると、見た目も可愛い“スイーツ”の出来上がりです。
一方、シシユズ(獅子柚子または鬼柚子)と呼ばれるものは、見た目が獅子の顔のような形あるいは鬼の顔のような形からそのように呼ばれています。ユズの仲間ではなく、ブンタン(文旦)の仲間ですから径20㎝前後と極めて大きく、ユズのような強い香りはありません。生食用には不向きで、わずかにピール、砂糖漬け、マーマレードなどに加工されることもありますが、ほぼ観賞用として利用されています。最近では玄関に置いたり、料理の器としても利用されているようですよ。

(2015.11.05.撮影)

(2018.11.19.撮影)


(ネット写真)

(福知山の別邸 2015.11.05.撮影)

(比叡山坂本の民家 2015.11.20.撮影)
トピックス2022年11月(霜月)の情報
晩秋の園燃ゆるものみな余燼
山口青邨
木枯らしを窓の外に感じ、冬の足音が近づいてくる頃となりました。
四季折々に豊かな表情を見せ、訪れる人を魅了してきた薬草園も、晩秋
を迎えそろそろ冬支度の準備です。
風が吹くたびに、木の葉が舞い散る姿に刹那の秋を感じます。
過行く秋を惜しみつつ、薬草園を訪れてみて下さい。
秋から初冬にかけての今の季節らしい、趣の異なる情景がそこにありま
す。



トピックス11月の開花情報
11月の開花情報 (東玄関の奥から)
① 杭白ギク(中国からの導入種。頭花「菊花」には解熱、解毒、鎮痛、消炎作用あり)
② ノゲイトウ(インド原産の一年草。帰化植物で、種子が薬用。紅白2段の穂状花を次々に出す)
③ リンドウ(各地の山野に自生する多年草。茎の上部に青紫色の4~6花がかたまって咲く。)
④ ケイトウ(鶏冠のような花形で花壇の花、中川淳庵が薬品会に出店した)
⑤ ツリガネニンジン(薄青色の鐘状花、新芽は山菜として美味。根は朝鮮ニンジンに酷似する)
⑥ ウド(日本各地の山野に自生。白花の散形花序で、果実は多肉質で黒熟。新芽が山菜として人気)
⑦ オミナエシ(秋の七草の一つで黄色の花、根に特有の臭い=「敗醤香」)
⑧ フジバカマ(秋の七草の一つ。葉が万葉期からの芳香材で、光源氏も愛用か?) など
トピックス温州ミカンの古い皮(陳皮)で湯上りぽかぽか
冷たい木枯らしが吹き荒れる季節になると、炬燵で暖まりながらミカンが食べたくなりますよね。日本で主に食べられる温州ミカン(Citrus unshiu 写真①)は、食べるために“刃物が要らない”という世界的に見ても非常に特異な果物で、他の外国産の蜜柑類はいずれも手で剥くことができません。それが日本生まれですから、世界に誇れる果物と言えます。
温州ミカンは、江戸期に栽培されていた中国原産の小ミカンから偶発的にできた実生個体で、薩摩北部の長島で見出されたことから「長島蜜柑」と呼ばれていましたが、武士の世にあっては種子を生じない性質は縁起が悪いとされ、ほとんど栽培されませんでした。その美味と種なしの利便性が注目されて栽培が拡大したのは明治中期以降で、日本で生まれた新品種に当時中国浙江(セッコウ)省のミカンの中心地名を冠して「温州ミカン」の名が使われるようになりました。その後、早生系の品種や高い糖度の「青島温州」などが育成されて、今では10月中旬から3月頃まで貯蔵・出荷されています。
日本の暖地で栽培される常緑樹で、5月頃香りのよい白色5弁花を開きます(写真②)。花柱の太い雌しべが1本と葯が萎縮した雄しべが沢山ありますが、雄しべからは花粉が出ておらず、雌しべも不完全なことが多く、ほとんど種子ができないことが最大の特徴です。
日本では温州ミカンの乾燥した果皮を「陳皮(チンピ)」と呼び、江戸時代から使用され始めました。陳は「古い」の意で、乾燥して長年月を経たものを良品とします(写真③、④)。健胃、鎮吐、鎮咳などを目的として風邪薬の“香蘇散”や飲み過ぎ・食べ過ぎに効く“平胃散”などの漢方薬に配合されています。果皮にはリモネンなど特有の香り成分が含まれていますので、ミカンの皮を入浴剤として風呂に入れると毛細血管を広げて血行をよくし、冷え性や肩こり、神経痛などに有効です。
食べたミカンの皮を素早く乾燥させるには、比較的細かく裁断して紙箱などに広げ、炬燵の中や風通しの良い場所などに置いておきます。乾燥できたら適当な容器に収納し、しっかり蓋を閉めて湿気ないよう保存します。使い方としては、適当な大きさの布袋あるいは茶袋に入れ、薬缶でしばらく煮立たせた液を浴槽に注ぐと効率よく利用でき、湯上りがぽかぽかと温泉気分を味わうことができますよ。
さぁー、今日から蜜柑をたくさん食べて、陳皮作りを始めましょう !!




トピックス2022年10月(神無月)の情報
肩に来て 人懐かしや 赤蜻蛉
夏目漱石
空を行く雲の流れに、深まりゆく秋を感じる季節となりました。
秋の風に寄り添って赤トンボが飛び交う薬草園。日の暮れるのも忘れて、トンボを追いかけたありし日が懐かしく思い出されます。
過ぎ去った日は、美しくもありせつなさも感じさせます。
先月お知らせしたフジバカマが、澄んだ空気のもと咲きはじめています。フジバカマの花言葉は、「あの日を思い出す」です。
あなたの大切な思い出とともに、季節の移ろいゆく姿に接してみてはいかがでしょうか。心がゆったりと満たされていきます。



トピックス10月の開花情報
10月の開花情報 (東玄関の奥から)
① ヤナギタデ(猛烈な辛味を有す。アユを食べる時のタデ酢の材料)
② ムクゲ(夏に咲く一日花、咲き終わりの残り花)
③ ホソバオケラ(茎の頂端に花開く白色小花、根茎は“蒼朮(ソウジュツ)”で利尿剤)
④ オケラ(草地に自生する絶滅危惧種、京都・八坂神社の祭事で“おけら火”の材料)
⑤ ノゲイトウ(紅白の二段咲き、種子を薬用に利用)
⑥ ケイトウ(雄鶏の鶏冠(トサカ)に似た花形、中川淳庵が薬物会に出品した)
⑦ ウイキョウ(風邪薬に配合、香辛料の“フェンネル”)
⑧ ゲンノショウコ(日本各地の路傍に自生、花期の地上部を乾燥して“下痢止め”とする)
⑨ ツリガネニンジン(日本各地の山野に自生する多年草。花の形が釣鐘型で、根が朝鮮人参に似る)
⑩ アマハステビア(天然甘味料、砂糖の300倍の甘さがある)
⑪ ウド(残り花、大型の草で、役に立たない例えとされる“ウドの大木”は有名)
⑫ トウゴマ(赤茶色の掌状葉が花材。種子の油が“蓖麻子油”で、下剤に利用)
⑬ クサボケの果実(クエン酸が豊富に含まれる。果実酒として美味しい)
⑭ 西洋ヤマハッカ(地中海地域を原産とする多年草。蜂を引き付ける蜜源ハーブとして知られる。)
⑮ ハナハッカ(気分を高揚させる芳香、トマトやチーズと相性の良い香辛料“オレガノ”)
⑯ オミナエシ(秋の七草の一つで、根に特有の臭みがあることから、生薬名は“敗醤香”)
⑰ フジバカマ(秋の七草の一つ、乾燥葉に芳香があり、奈良朝期には匂い袋に入れて重用した)
など
トピックス重陽の節句(旧暦9月9日)にキクを愛でる
旧暦9月9日は重陽の節句で、今年は10月4日がその日に当たります。古く中国河南省南陽の甘谷の水には上流の山に生えるキクの花が落ちて流れるため滋養があり、その水を飲む人々は長寿であったと伝えられ、その故事からキクの葉・花と米で醸した“菊酒”を飲んで邪気を払い、延命長寿を願う行事が生まれました。その風習が伝わった日本では杯の酒に菊の花を浮かべて飲む『菊の宴』が行われ、また『菊の被綿(キセワタ)』は前日の夜にキクの花に真綿を被せ、夜露を介してその香りを移し、その綿で体を拭うと老いが去り、寿命が延びるとされてきました。
生薬の「菊花」はキクの頭状花を乾燥したもので、解熱、解毒、鎮痛、消炎、血圧降下作用などがあり、中高年層に多い顔面痛、頭痛、高血圧症などの改善を目的として漢方薬に配合されています。また菊花を入れた枕は安眠を誘う効果があるとされています。ただし、残念ながら、日本では薬用菊は全く生産されていません。日本に輸入される菊花は主に「黄甘菊」ですが、薬草園で栽培されている“杭白ギク”(写真①)は、1980年に中国馬橋人民公社から導入したもので、主に茶材として利用されるものです。その頭花乾燥品にはフラボノイドが多量に含まれていて、福井県立大学生物資源学部・村上茂教授の研究によると、食事後の血糖値上昇を有意に抑えるとともに、抗酸化、抗炎症作用などもかなり強いことが判ってきました。
現在栽培されている観賞用のキクは雑種起源の植物で、中国中部に生えていた朝鮮ノギクとハイシマカンギクとの交配から生まれたとされています。東洋では最も古い栽培植物の一つで、『延喜式』(927)には黄菊の花が讃岐、阿波、若狭、下野、近江、甲斐の国から宮廷に献上されたことが記されています。わが国最初の花卉園芸書である『写本花段綱目』(1664)には80品種が、また『花壇地錦抄』(1695)には250品種がそれぞれ収載されて、わが国でも盛んに育種が進められた様子がうかがえます。現在日本では切り花として最も多く生産されるのがキクで、切り花だけで年間20億本を越え、花屋の店頭には一年中並べられています。
一方、アマギク(料理菊・食用菊とも言う)は苦味がなく歯ざわりと食味のよいものを選んだものの総称で、小菊から大輪咲きまで60品種ほどが育成されています。特に東北地方での栽培が盛んで、青森県の「阿房宮」は黄色の生花を蒸して乾燥加工した「南部菊のり」として出荷され、山形県や秋田県庄内地方で生産される「以ての外」(写真②)は淡紫紅色の八重咲き中輪で、あまりの美味しさからその昔殿様が「下々の者に食わせるのは以ての外じゃ」と言ったのが語源(??)とされているものです。
ところで、黄色中輪咲きの「坂本菊」(写真③)は、大津市の郊外・比叡山坂本地区で古くから細々と栽培・利用されてきた食用菊ですが、その来歴は中国から1200年前に渡来したとされたり、かつては比叡山の僧らの精進料理として珍重されたなどとされながら、真実のところは全くの謎とされています。松尾芭蕉が元禄4年(1691)に近江(滋賀県)堅田で“菊のなます”を詠んだ句がありますが、案外、その“坂本菊”を賞味したのかもしれませんね。比叡山が紅葉に染まる頃、明智家の菩提寺・西教寺では”坂本料理菊振興会”の主催で「菊料理を食べる会」が行われ、食前酒からゼリーまでのフルコースを楽しもうと年毎に参加者が増え続けているようですよ(写真④)。
菊の花酒の作り方;(黄金色をした不老長寿の薬酒、高血圧の予防)
① 清潔な保存瓶に、乾燥した菊花100gとホワイトリカー1.8㍑、蜂蜜カップ1杯または
砂糖80gを入れ、冷暗所に置く。
② 菊の花は2~3ヶ月後に取り出して、出来上がり。淡い黄金色に仕上がるが、苦くて
飲みにくいので、適当に水で割って飲む。
1回に盃1杯、1日に2回が限度。疲労回復、食欲増進、頭痛・頭重、眼精疲労などに
効果がある。






トピックス2022年9月(長月)の情報
夏から秋へと少しずつ装いをかえる薬草園。その中で、雄鶏のとさか(肉冠)に似た朱赤色のケイトウがひときわ目を引きます。ケイトウには「トサカ系」「久留米ケイトウ」「ヤリケイトウ」などの種類があり、花言葉は「おしゃれ」「個性」「風変わり」などです。
本薬草園開設のきっかけとなった小浜藩医の中川淳庵は、本種から観賞用に改良されたケイトウの花を、江戸で開かれた薬品会に出品しています。
秋の七草の一つのフジバカマ。薄紫色の花を咲かせその姿は一見袴をはいた形をしています。平安貴族が藤袴を「藤色の袴」の意にとって、言葉遊びや香りを楽しんできました。当園のフジバカマの開花は少し先になるようですが、歴史に思いを馳せながらぜひ訪れてみて下さい。




トピックス9月の開花情報
9月の開花情報 (東玄関の奥から)
① トロロアオイ(黄色の巨大輪で一日花、塊根の粘液成分を紙漉きに利用)
② ミシマイコ(日本特産の薬用種、黄色小花を次々に咲かせる)
③ ムクゲ(白花と紫桃色花の2種類、一日花、樹皮を薬用とする)
④
⑤ サボンソウ(白花と紅桃色の2種類、根に泡立つ成分がある)
⑥ ノゲイトウ(葉が紫紅色でよく目立つ、紅白2段の穂状花を次々に出す)
⑦ ゲンノショウコ(紫紅色の美花、乾燥した地上部は下痢止めに著効)
⑧ ケイトウ(鶏冠のような花形で花壇の花、中川淳庵が薬品会に出品した)
⑨ ウイキョウ(ハーブ名:フェンネル、未熟果を噛むと爽やかな甘みがある)
⑩ ツリガネニンジン(薄青色の鐘状花を数段に咲かせる、新芽は山菜として美味)
⑪ トウゴマ(大きな赤褐色の葉が目立つ、葉陰に黄色の房咲き)
⑫ ニラ(白花を頂生する、若い蕾は油炒めでほんのり甘い味)
⑬ ホンカンゾウ(朱紅色の美花若い蕾が中華食材の“金針菜”)
⑭ オミナエシ(秋の七草の一つで黄色の花、根に特有の臭い)
⑮ フジバカマ(万葉期からの芳香材、匂い袋に入れて光源氏も愛用か?) など