トップページ > 中川淳庵顕彰薬草園 > お知らせ

お知らせ(毎月、更新中です)

トピックス2025年2月(如月)の情報

梅一輪 一輪ほどの 暖かさ
                  服部 嵐雪

2月3日は、暦の上では「立春」。春の始まりとはいえ、まだまだ底冷えがする寒さです。
それでも、寒空からときおり降り注ぐやわらかい陽差しに誘われて、「如月の兆し春隣」の言葉が思い浮かびます。2月は別名「梅見月」とも言われ、一輪の梅のほのかに甘く淡い香りがあたりに漂います。

薬草園では、シンボルツリー・ヒポクラテスの木(プラタナス、鈴懸とも)が、すっかり葉を落として、静かに春の到来を待っています。

雪も無く穏やかな節分の日(2/2)の薬草園

トピックス雪の中から顔を出し、今が見頃のザゼンソウ

極寒の中、いち早く周りの雪を溶かしてポッコリ顔を出すのがザゼンソウ(Symplocarpus foetidus)の花です(写真①)。葉を展開する前に、長さ8~20cm、幅5~15cmで紫褐色の仏炎苞(ブツエンホウ)という特殊な形状の器官に包まれた、長さ約2cmの肉穂花序をつけます。和名は、仏炎苞と中の花序を“座禅する僧の姿”に見立ててつけられたものです。その苞葉は、稀に淡紫色、緑色または白色、時には濃褐色の斑点を有する個体も存在しています。雌花の成熟期になると、雌しべは23℃ほどに発熱することが知られています(写真②)。北海道から本州の日本海側に分布し、谷間の陰湿地に生育する多年草です。滋賀県高島市今津町弘川地区にある湧水湿地の群生地は緑地環境保全地域に指定され、周辺住民によって手厚く保護・保全されています(写真③)。例年であれば2月下旬~3月中旬がちょうど見頃ですが、今年は雪が少ないので2月上旬から見ることができそうです。

周囲にはモウソウチクのほかタブやハンノキなどが混在して生えています。花は独特の形状を呈しています(写真④)が、ハエの仲間に受粉を手伝ってもらうために何とも形容しがたい腐臭を放っています。決して鼻を近づけないでください。なお、北米東岸にもアメリカ種が分布していますが、こちらは英名で“スカンク・キャベツ”と称されますから、その臭いの酷さが想像できるでしょう。各地で問題となっているシカもこの植物だけは食害しないほどですよ。一方、同じサトイモ科の植物にミズバショウ(Lysichiton camtschatcense)があります(写真⑤)が、こちらはシカによく食べられるようです。

大きな葉2~7枚を根出し、葉身は円心形で先端が尖り、基部は心臓形で長さ・幅ともに30~50cm。葉身とほぼ同じ長さの太い葉柄があります。また地下には意外に大きな根茎があって、乾燥した根茎を「日本臭菘(シュウスウ)」と称し、去痰、利尿、鎮痛、催吐薬として喘息や気管支炎などに用いられます。

写真① 雪の中から芽生えたザゼンソウの花
(2012. 2.28.撮影)
写真② 花の模式図
写真③ ザゼンソウ保護の看板
写真④ 座禅する僧に見立てた花容
(2012. 2.28.撮影)
写真⑤ 尾瀬沼のミズバショウ
(2003. 5.31.撮影)

トピックス2025年1月(睦月)の情報

寒椿小さく赤き一重なる    原 石鼎(セキテイ)

新年明けまして おめでとうございます。

昨日までの喧噪が嘘のように、凜とした空気が漂う薬草園に、新しい年の幕開けを告げる希望の光が差し込んでいます。

今年の干支は、乙巳(きのとみ)。乙は、しなやかに伸びる草木を表しており、困難があっても努力を重ねることにより物事が安定し、巳は脱皮を重ねて成長する縁起の良い年と言われています。

平成25年(2013)5月に開園して、今年13年目を迎える薬草園。先人の遺徳を顕彰し、四季折々の薬草が彩りを添え、人々が癒やされる薬草園を目指して来ました。冬景色の中に佇み、ひときわ美しい寒椿の様に、積み重ねた歴史の上に、今年も訪れる人々を魅了する憩いの空間でありたいと願っています。

希望の光が差し込む
謹賀新年
冬景色に彩り
春を待つ蕾み

トピックス1月の開花情報

1月の開花情報  (東玄関の奥から)
① キンセンカ(冬咲きの貴重花。開花期間が長く、乾燥花を肝機能の改善薬に利用)
② 葉ボタン(園芸種、年末から年始を飾る紅白の草花として植栽)
③ キンギョソウ(矮性の園芸種、冬場の彩りとして植栽)
④ パンジー(三色すみれの園芸種で巨大輪咲き、冬場の彩りとして植栽)
⑤ 西洋サクラソウ(園芸種の“ジュリアン”、冬場の彩りとして植栽)
⑥ トウゴマの越冬なるか?(暖地性の木本植物で、小浜が生死ぎりぎりの気候のため)

トピックス小正月には「小豆粥」を食べましょう !!

アズキ(Vigna angularis)は、熱帯アジアを原産地とする一年草です。栽培の歴史は農耕文化のそれに匹敵する長さではないかと考えられています。草丈は30~60cm。長柄のある3出複葉で、夏に淡黄色の蝶形花を咲かせ(写真①)、果実は9月下旬頃に赤く熟します(写真②、③)。日本各地で栽培されますが、とりわけ北海道はその主産地で、かつて”赤いダイヤ”と言われて投機筋に持てはやされました。本種は下胚軸が伸びないので、子葉(双葉)が地上に展開しない地下発芽性のマメです。そのため通常はモヤシの原料にはなりません。

完熟した種子を「赤小豆(シャクショウズ)」と称し(写真④)、漢方では消炎、利尿、解毒、排膿などの目的で用いられます。浮腫、黄疸、小便不利、種々の皮膚病によく効くとされています。また民間薬としての利用も幅広く、例えば催乳に小豆粥を食べるとか、二日酔いには小豆を煮て食べる、あるいは煎液を飲むなどがあります。本種は、使用する部位によって作用が全く逆になるものの代表格です。すなわち、果実は利尿作用が強く、枝や葉は逆に尿を止める働きがあり、夜尿症や尿失禁などに用いられます。

水田稲作の儀式食が「お餅」なら、本種は焼畑の代表作物で、仏事にはアズキ餡の饅頭を作り、祝い事には赤飯を炊いて食べます。また小正月(旧暦1月15日、今年は2月12日が最初の満月)には小豆粥を供えてその年の豊作を祈り、邪気を祓う風習は本種の薬効にあやかって無病息災を願う気持ちの現れと思われます。お正月のお節料理に飽きたら、ぜひ“小豆粥”を食べて消化器官を休めましょう(写真⑤)。因みに、中国では専ら緑豆を用いて、豆飯や豆粥など日本の小豆と同様な使い方をするそうです。

「アズキの豆腐」とはあり得ないことの例えです。豆腐はタンパク質を“にがり”などの凝固剤で反応させ、固めてつくるもの。したがって、タンパク質が少ない植物からは豆腐を作ることができません。因みに、大豆は30~50%で、小豆には12%しか含まれていないのです。また沖縄郷土料理のジーマミトーフ(地豆豆腐)として親しまれている落花生の蛋白質は25~31%で、それだけではやや固まりにくいので、胡麻豆腐と同じように葛粉などを補助剤として加えます。

写真① アズキの花
(2009. 6.24.撮影)
写真② アズキの果実
(2010. 9.20.撮影)
写真③ 果実の登熟
(2010.10.09.撮影)
写真④ 赤小豆
(2011.10.30.撮影)
写真⑤ 小豆粥

トピックス2024年12月(師走)の情報

山茶花の 咲きて ことしも 師走かな
                      久保田万太郎
早くも師走。この一年、日本列島は異常気象に見舞われ、各地で災害が相次ぎましたが、もうすぐ終わりを迎えます。

薬草園も開花の時期がずれるなど、例年とは装いを異にする風景が見られました。
12月21日は冬至。「一陽来復」といわれ、この日を境に陰から陽へと運気上昇の節目を迎えます。

一年を通じて多くの人が訪れる薬草園も、ゆく年くる年に想いを馳せ、来年も皆さんに癒やしの場を提供出来るよう冬支度に入ります。冬を彩る葉ボタンなどとともに。

今年の気象を象徴する風景
くちなしの実
冬を彩る葉ボタン
小春日和
レモングラスの防寒処置
パンジー・サクラソウ

トピックス12月の開花情報

12月の開花情報  (東玄関の奥から)
① キンセンカ(冬咲きの貴重な草花。乾燥花を肝機能の改善薬に利用、開花期間が長いのが特徴)
② 葉ボタン(園芸種、年末から年始を飾る紅白の草花として植栽)
③ キンギョソウ(矮性の園芸種、冬場の彩りとして植栽)
④ パンジー(三色すみれの園芸種で巨大輪咲き、冬場の彩りとして植栽)
⑤ 西洋サクラソウ(園芸種の“ジュリアン”、冬場の彩りとして植栽)
⑥ 杭白ギク(中国からの導入種、頭花「菊花」には解熱、解毒、鎮痛、消炎作用あり)
⑦ アマハステビアの防寒(天然甘味料、南米パラグアイの原産でやや耐寒性が弱い)
⑧ クチナシの果実(御節料理の添え物に欠かせない“栗きんとん”の天然着色料)
⑨ トウゴマの越冬なるか ?(暖地性の木本植物で、小浜が生死ぎりぎりの気候のため)
⑩ レモングラスの防寒(やや耐寒性が弱く、小浜では時に枯死する可能性あり)
など

トピックス2024年11月(霜月)の情報

落葉して 落葉して まだ落葉せる
                 黛まどか

木枯らしに抱かれて舞う落葉。地上に散り積る落葉。いずれも美しい光景に どこか寂寥感が漂います。
10月は例年より気温が高い傾向が続いたため、薬草園でも晩秋への装いが少し遅れ気味です。
こうした中、10月19日(土)「薬草に親しむ会」を開催。あいにくの雨模様でしたが、多くの市民の参加がありました。
当園アドバイザーの渡辺斉氏によるユーモアを交えた薬草解説と「さし木」の実演に、目からウロコです。
解体新茶、コウギク入り玄白饅頭、あんパンがふるまわれ、穏やかなひと時を過ごしていただきました。
また、10月29日(日)には、秋篠宮殿下・同妃殿下ご臨席のもと、サンドーム福井(越前市)で行われた第47回全国育樹祭の記念式典で、当病院の園芸ボランティア「すみれの会」が長年にわたる活動を認められ、知事感謝状受賞の栄に浴しました。
これからも会員一同、お役に立ちたいと願っています。

ムクゲ
ウンシュウミカン
フジバカマ
メボウキ(バジル)
カラタネオガタマノキ
(10周年記念樹)
知事からの感謝状

トピックス11月の開花情報

11月の開花情報  (東玄関の奥から)
① ローゼル(黄橙色の一日花、花後の肥大する花托部が茶材の“ハイビスカス”)
② ムクゲ(白花と紫桃色花の2種類、一日花、樹皮を薬用とする)
③ ゲンノショウコ(濃桃色花、地上部を下痢止めに利用、幼児の腸風邪にも卓効あり)
④ サボンソウ(白花と紅桃色の2種類、根に泡立つ成分がある)
⑤ ミシマイコ(日本特産の薬用種、黄色小花を次々に咲かせる)
⑥ 杭白ギク(中国からの導入種。頭花「菊花」には解熱、解毒、鎮痛、消炎作用あり)
⑦ カラタネオガタマ(開園10周年の記念樹、春と秋の二季咲き性、バナナの強い香り)
⑧ ノゲイトウ(インド原産の一年草。帰化植物で、種子が薬用。紅白2段の穂状花を次々に出す)
⑨ ハマビシ果実(黄色小花、果実に多数の棘がある、江戸期の若狭特産の記録)
⑩ メボウキ(ハーブ名:バジルは葉に特有の精油を含む、白色小花を穂状に咲かせる)
⑪ クチナシ果実(黄色の天然染料、煮汁で直接染まり着く、外皮は霜に当たって赤変する)
⑫ ホンカンゾウ(朱紅色の美花、若い蕾が中華食材の“金針菜”)
⑬ トウゴマ(大きな掌状葉、種子から“蓖麻子油”を搾り、下剤に利用)
⑭ 温州ミカン(常緑低木で白花、日本で最も多く栽培される柑橘、果皮が“陳皮”)
⑮ フジバカマ(秋の七草の一つ。葉が万葉期からの芳香材、アサギマダラが飛来中(?))
など

トピックス2024年10月(神無月)の情報

桐一陽日当たりながら落ちにけり
                   高浜虚子

一枚の枯れ葉が陽を浴びながら、ひらひらと舞い落ちています。

立秋(8月)、仲秋(9月)、晩秋(10月)と季節は移り、薬草園も秋の深まりへと装いを変へて行きます。

10月19日(土)午後2時から、薬草を楽しむ会~見て触って楽しもう~が開催されます。当園アドバイザーの渡辺斉氏から薬草解説と挿し木の実技指導があります。また、解体新茶、玄白まんじゅう、コウギク入りアンパンなどが振る舞われます。皆様お揃いでお越しいただき、楽しいひとときをお過し下さい。

薬草園・中秋
トウゴマ
ニラ
解体新茶

このページの先頭へ