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チョウセンゴミシ・五つの味を持つ果実

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特徴

チョウセンゴミシ(Schisandra chinensis)はマツブサ科のつる性落葉樹で、 山地の明るい斜面の林下で、他の植物に巻きついて生育します。享保年間(1716~1735)に薬用植物として朝鮮半島から導入されましたが、明治になってから日本の北海道や本州中北部の山地にも自生することが判明しました。葉は厚い膜質で互生し、5~7月に芳香のある黄白色の花をつけます。雌雄異株で、集合果は長さ5~6cmの柄で垂れ下がり、果実の大きさは径5~7mmの不ぞろいで、秋に赤く熟して内部に1~2個の種子を含んでいます。

本種の成熟果実を乾燥したものが「五味子(ゴミシ)」で、成分としてシザンドレンやゴミシンなどの精油を含み、中枢神経系の興奮、鎮咳・去痰、利尿、消炎、抗菌、鎮痛、胃液分泌抑制などの作用を有し、滋養強壮を目的とした漢方薬に配合されています。ちなみに、「五味子」について中国の本草学者・蘇啓は「皮と肉は甘く、酸っぱく、核中は辛く苦い。全体には塩辛味がある。これ即ち五味が具わるものだ」と記しています。

肥沃な腐植質土壌を用いて半日陰で栽培しますが、収穫できるまでには4~5年を要します。大粒で果肉が厚く、光沢のある紫赤色を呈し、油性に富むものが良品とされています。

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