エンゴサク・全身各部の痛みを解消
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特徴
エンゴサク(Corydalis yanhusuo)は、中国原産の多年草です。早春に萌え出る地上茎は、高さ10~20cmと短く、細い肉質です。葉は互生し、2回3出複葉。4月頃、赤紫色の花を咲かせますが、地下の塊茎を更新した後、気温が上昇すると早々に休眠する典型的な『春植物』で、その儚さがカゲロウに例えられる短命植物の一つです。また種子にカロンクルという白い粒を着けていて、アリが好んで巣へ運びます。餌として白い粒を食べた後、無用となった種子は巣から運び出されて近くに捨てられますが、そこが「本種の生育に最適な場所である」という仕組みです。実に巧妙な関係ですね。
晩春、地上部が枯死した頃に塊茎を掘り取り、外皮を除いて湯通しした後乾燥したものが「延胡索」です。漢方では血のめぐりを良くして気分を爽快にする働きがあり、専ら身体上下の諸痛を治す薬材とされています。全身各部の気の鬱滞あるいは血が滞って巡らない状態の瘀血(オケツ)による痛み、月経痛、産後不良、疝痛などに用いられます。アルカロイドのデヒドロコリダリンなどを含んでいますが、これらの成分は塊茎の皮層部分に多く含まれているため、小粒ほどその含有率は高いのですが、市場では大粒ほど良品で高価なものとされています。私が若い頃に行った実験結果からも中粒の経済効率が最も良いのですが、製剤メーカーは何故か大粒を欲しがります。不思議ですね。