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ハマスゲ・逞しさが身上の薬草 ?!

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特徴

 カヤツリグサ科のハマスゲ(Cyperus rotundus)は、日当たりの良い海岸砂地に生える多年草で、草丈20~40cm、茎の断面は三角形で基部は膨大し、葉は線形で数枚が叢生して下部は鞘となって茎を包んでいます。夏秋の頃、葉の間から花茎を出して数本の花序を広げた姿は、夜空に弾ける花火のミニチュア版です。地下に細長い走出枝(ストロン)を出し、その先端に小形の塊茎を生じ、褐色の繊維で被われています。その塊茎から芽を出して新苗となるのですが、養分に富み、乾燥にも耐え、地中深くあるいはアスファルトの細い隙間さえ“物ともしない”逞しさを具えています。そのため、近頃では畑の強害雑草として嫌われていますが、かつては身近にあったその葉を編んで蓑・笠や(今の100均店に並ぶような)生活小物に役立てていたのですから、本種と人間のどちらが“より逞しい”のでしょうかね。薬草園では細目の網籠に安納海岸の砂を満たして栽培していますが、案外大人しく納まっています。

 本種の肥大した紡錘形の塊茎が「香附子(コウブシ)」です。その名は独特の香りがあって、形がトリカブトの塊根=附子(ブシ)に似ていることに由来しています。漢方では婦人薬として月経不順、更年期障害、生理痛、精神不安、ヒステリーに、また男女を問わず芳香性健胃消化薬として慢性胃炎、神経性胃炎などの上腹部痛、食欲不振、吐き気などに用いられます。また「雀頭香」の名で香に合わせる材料とされます。