ヘンルーダ・子宮に強く作用
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特徴
ヘンルーダ(Ruta graveolens)は、ヨーロッパ南部の地中海沿岸地方を原産とする常緑小低木です。乾燥した石灰岩の多い土壌に生えています。日本へは明治初年(1868)に渡来しました。高さ0.5~1mに達し、茎は白色を帯びた緑色で、株元の茎は木肌の様相を呈します。丸みを帯びた滑らかな葉は2回羽状複葉で、灰色を帯びた緑色で対生します。サンショウを少し甘くしたような独特の強い香りがあります。6~7月頃の夏咲きで、枝先に径2cmほどの4~5弁黄色花を開きます。花後は、色こそ異なるものの温州ミカンをそのまま小粒にした形の果実を稔らせます。
開花時に採集した枝葉を「芸香葉(ウンコウヨウ)」と称し、その浸剤を通経薬として利用します。主として子宮に作用し、ごく少量で月経困難の軽減に効果があります。しかし、妊婦には少量でも危険で、大量に用いると精神混乱状態に陥ります。また胃腸器系に血液の流れを増し、疝痛の回復を促す健胃薬としても利用されます。さらに、中国では感冒の発熱やリウマチ性骨痛にも使用するらしいです。
精油として抽出された「ルー油」は、イタリア特産で葡萄の搾りかすから造る蒸留酒、あるいは焼酎などの香り付けに使われています。ただし、本種の汁液はアレルギー反応や植物性光線皮膚炎を引き起こすことがあるので、植物の取扱いには注意が必要です。