カワラナデシコ・秋の七草の撫子の花
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特徴
カワラナデシコ(Dianthus superbus var. longicalycinus)は、秋の七草の一つ「撫子の花」として万葉の時代から親しまれてきた多年草です。本州~九州、台湾、朝鮮半島、中国本土などに分布し、低地や山地の日当たりの良い草原や河原に生えています。茎は直立し、高さ30~80cmになります。花期は7~10月で、茎頂に淡紅色の花を数個つけます。種子は、径2mmの円形で、黒色。種子は漢方で「瞿麦子(エイバクシ)」と称し、利尿、消炎および通経薬とされています。
古名を「常夏」といい、花期の長いことを表しています。『枕草子』67節には「草の花はなでしこ、唐のはさらなり、大和のもいとめでたし」とあり、中国産のカラナデシコに対して、本種は「ヤマトナデシコ」とも呼ばれました。その大和撫子は、日本女性の清楚な美しさの例えともされますが、これは大伴家持の歌「うるはしみ我が思ふ君はなでしこが花になそえて見れど飽かぬかも」(万葉集20)に見ることができます。今日、ナデシコと呼ばれる園芸植物は中国産から改良されたもので、矮性のものを三寸石竹、高性のものを五寸石竹と呼んで花壇や鉢物として栽培されています。
撫子襲(カサネ)は装束色目(イロメ)の一つで、若年の色とされています。その青系統が男子用で、表が薄紫色、裏を青または紅梅とします。また赤系統は女子用で、表が紅梅、裏を赤または青としています。