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キキョウ・怨霊と儚さの象徴か?!

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特徴

 大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公・明智光秀は天下取りの夢を抱いて信長を討ったものの、山崎の合戦で秀吉に敗れました。その明智家の家紋が“桔梗紋”です。キキョウ(Platycodon grandiflorus)は古来よりお盆に精霊を山野から迎える花と考えられていたため、屋敷内に植えることを嫌ったり、特に関東を中心に非業の死を遂げた怨霊と儚さを象徴する花とされてきました。古戦場や刑場跡を桔梗塚や桔梗ヶ原と呼ぶ例も数多く残されています。

 秋の七草で「朝顔の花」として多くの歌に詠まれ、今では観賞用に庭でたくさん栽培され、また切り花としても親しまれていますが、本来の自生環境である日当たりのよい草地が激減したことによって環境省の絶滅危惧種に指定されています。草丈30~90cm。茎や葉を傷つけると直ちに乳液が出ます。

 根を乾燥したものが「桔梗根(キキョウコン)」で、鎮咳・去痰作用があって痰切りの妙薬とされ、また化膿性疾患にも用いられます。正月に飲まれるお屠蘇の材料にも使われています。一方、根の貯蔵成分はイヌリンで、有毒成分サポニンを茹でて水に晒せば揚げ物、煮物、漬け物等に利用できます。さらに、秀吉の朝鮮出兵の折に日本から伝えられたとされるトウガラシとの相性は抜群で、もともとキキョウの根(トラジ)を食べる習慣があった韓国でその後独特の食文化として開花した所以とされています。