ニンニク・圧倒的な疲労回復効果
薬草検索
特徴
ニンニク(Allium sativum)の原産地については諸説があり、西方アジアのものが中国・朝鮮半島を経由して、日本には崇神天皇の頃渡来したとされています。最近の遺伝子解析でユリ科からヒガンバナ科へと所属が変更されました。地下に菊座形の鱗茎を持ち、全草に特有の強い臭気があります。和名は、悪臭に耐え忍ぶという意味から「忍辱(ニンニク)」とされました。6~7月頃、長い花茎の先に白紫色の小花と珠芽(むかご)を着けますが、通常種子はできません。長い間鱗茎だけで継代されてきたので、今では種子を稔らせることさえ忘れてしまったらしい。稔性のあるニンニクは極めて珍しいものです。
鱗茎を乾燥したものが「大蒜(ダイサン)」で、健胃、整腸、駆虫、解毒、強壮、利尿など幅広い効能・効果があり、世界中で薬用とされています。香辛料としての需要も多く、日本では強壮、強精効果を期待して食べられる場合が圧倒的に多いですね。本来、主成分のアリインは無味無臭ですが、細胞が壊されると共存する酵素によって強臭のあるアリシンを生じます。それとビタミンB1誘導体を結合させたものが大衆薬“アリナミン”で、その服用によって脚気患者が激減し、明治以来の「国民病」という汚名の返上に大きな役割を果たしました。最近、貯蔵養分を熟成・糖化させた「黒ニンニク」の売れ行きが好調のようですが、匂い成分消失の功罪についてはより臨床学的な検証が必要ではないかと考えられます。