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オオバギボウシ・早春の若芽が美味

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特徴

 オオバギボウシ(Hosta sieboldiana)は、北海道から九州までの広い地域に分布し、山地丘陵の草原や林縁など湿り気のあるところに生えるクサスギカズラ科の多年草です。かつて日本海側に分布するものを“トウギボウシ”と呼んで別種とされていましたが、近年では同一種とするのが一般的です。草丈50~100㎝。葉は根生し、長さ30~40㎝、幅10~15㎝の卵状長楕円形で、長い葉柄があり、窪んだ葉脈が目立ちます。6~8月頃、漏斗型の白または薄紫色の花をやや下向きに咲かせます。朝咲いて、午後には萎む“一日花”です。花も葉もきれいで、日陰でも丈夫に育つことから、欧米では“perfect plant”と称されて「日本式庭園」にはモミジとともに欠かせないものとなっています。

 東北地方では早春の若芽を「ウルイ」と称し、山菜として賞味されます。春先の若葉が丸まって立つように生え、葉の色がウリ類の皮に似ているので、「瓜菜」が転化したとされています。ビタミン類、ミネラルのほかに滑り成分として多糖類が多く含まれているので、リンパ球を殖やして病気に対する抵抗力を高める働きがあるとされています。サクッとした歯応えでクセがなく、軽い滑りも魅力的です。軽く茹でた後、適当な大きさに切ってカツオ節、マヨネーズ、クルミ、カラシなどを乗せた“お浸し”、ゴマ和え、味噌汁、煮物、酢の物、てんぷら、油炒めなどの利用方法があります。