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セイヨウノコギリソウ・共栄作物の代表

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特徴

 セイヨウノコギリソウ(Achillea millefolium)は、ヨーロッパ原産の多年草。草丈は20~70㎝、茎は直立して木質のように硬く、葉は細かい羽状複葉でノコギリのように見えます。そのため名前はいずれも「ギザギザのある葉を持つ草」という意味です。花期は7~9月頃で、灰色がかった白色、または薄いピンクの小さな花が固まって咲きます。実生、株分けなどで容易に増殖できて、土質も選ばず根が広がるため、庭に植えると増え過ぎて困るほどです。生命力のすごさは堆肥用の生ゴミに1枚の葉を入れるだけで急速にゴミを分解してしまうほどです。また根から出る分泌液は、側に生えている植物の病気を治し、害虫から守る力があり、“コンパニオンプランツ(共栄または共存作物)”の一つとされています。日本には明治20年(1887)に渡来しました。

 全草、中でも花と葉に揮発性の精油を多く含み、それらの煎液で家庭用の軟膏を作って火傷や切り傷、痔の止血などに外用します。また咳止めや発汗・解熱、健胃、食欲増進の作用があって、ハーブティーなどで広く利用されています。風邪のひき始め、疲労やストレスの解消などにも効果的ですよ。

 最近では品種改良が進み、花期も初夏から秋にかけて長期間咲くので、赤・紅・黄花種や高さ20㎝ほどの矮性種などが花壇や切り花用として栽培されています。