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セイヨウオトギリソウ・多剤との併用は要注意

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特徴

 セイヨウオトギリソウ(Hypericum perforatum)は、日本にも帰化して野生化している多年草で、草丈は約1mになり、直立して分枝が多い。茎に2本の隆起線を有するのが特徴で、楕円形の葉には透明な腺点と縁に黒い腺点があります。7~8月頃、枝先にレモンの香りのする黄色5弁花をつけます。花や葉を押しつぶすと、蛍光色素を放出するため赤色に変わり、芳香性の香りを発します。聖ヨハネの日(6月24日)の頃に花が咲き、伝統的にその日に全草を収穫したので、セント・ジョウーンズ・ワート(St.John's wort)の名が付きました。

 収斂(シュウレン)(粘膜組織の緊縮)、抗菌、止血、利尿作用などがあり、喀血、吐血、リウマチによる骨痛、胃・腸カタル、黄疸などに用いられます。通常は若干苦いハーブティーとして愛用されていますが、最近では軽度から中度の鬱病に効果があるとして、サプリメントの売れ行きが世界規模で好調のようです。ただし、鬱病治療の新薬、血液凝固防止剤、気管支拡張薬あるいは抗不整脈薬など多くの薬物と相互作用をするので、厚労省から注意が必要であると喚起されています。さらに、家畜が過剰摂取すると、光過敏感反応で皮膚炎を起こして脱毛するので、放牧地帯では大きな社会問題となっています。