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アカザ・黄門さんの杖材か ?!

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特徴

 現在、軽くて頑丈で折れる心配のない杖はほとんど例外なく炭素繊維素材で作られていて、洒落たデザインのものが数多く店頭に並べられています。それ以前はかなり重さのある金属製でしたが、それよりもっと前は自然の素材である竹や木などが利用されていました。その中で、飛び切り軽くて丈夫なものの代表が“虎杖(イタドリ)の杖”と“藜(アカザ)の杖”です。

 イタドリ(Reynoutria japonica)は、谷筋の斜面に生えていることが多く、ごく稀に真っ直ぐな根が空中に伸びています。乾かすと、中空のため軽く、相当丈夫な杖になります。『枕草子』ではこの植物を「文字に書くと大げさなもの」と紹介しています。ちなみに、「虎杖根(コジョウコン)」には健胃、緩下、利尿、通経などの作用があり、消化不良や常習の便秘、夜尿症、膀胱炎などに用いられます。

 一方、アカザ(Chenopodium album var. centrorubrum)は、古くに渡来して各地に野生化している一年草で、幼葉の赤紫色が特徴です。腐植土の上などで育つと盛夏の頃には大きくなり、太く固い茎は杖として利用されます。老人が「藜の杖」を使うと中風にかからないという俗信があります。時代劇の水戸黄門様が手にされる小道具の杖も、もしかしたら“アカザ製”であったのかもしれません。そこで、水戸市植物公園では「杖作り市民教室」が毎年の恒例行事となって賑わっている由。