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キバナイカリソウ・強壮強精薬になる山草

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特徴

 キバナイカリソウ(Epimedium grandiflorum ssp. koreanum)は、近畿以北の日本海側および石灰岩地に多く見られる落葉性の多年草です。朝鮮半島北部に分布するものは根茎が這う形質がありますが、学名は同一種として扱われています。花茎には1枚の葉をつけ、淡黄色の花を咲かせます。

 生薬「淫羊霍(インヨウカク)」は本種の地上部を乾燥したもので、強壮・強精薬としてインポテンツ、腰膝軟弱、リウマチなどの治療に利用されます。中国の別名「放杖草」や「棄杖草」は、ともにお年寄りが飲むと腰が伸びて杖が要らなくなる、という意味です。また「仙霊脾」とも呼ばれ、茎葉を酒に浸したものが同様の目的に用いられます。生薬名の由来について、陶弘景(456~536)は「人が之を服すれば、好んで陰陽(性行為)をなすものである。西川(四川省西部)の北部に淫羊という動物がいて、一日に百回交合する。それはこの霍を食べているためである」と述べています。薬草園の見学会でこの話を披露すると、用い方など事細かな質問が相次ぎ、しばしば関心の強さを感じさせられます(笑 !!)。

 有効成分のイカリインを含む本種だけが薬用であり、他の品種は“山草”として船の錨に似た花を観賞する対象となります。ちなみに、若狭地方には他に常緑性で2回3出複葉のトキワイカリソウがあり、5月頃に白色または淡紫色の花を咲かせます。