レンギョウ・詩人が好んだ花
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特徴
レンギョウ(Forsythia suspensa)はモクセイ科の落葉低木で、中国東北部に分布しています。日本への渡来は古く、醍醐天皇の侍医・深根輔仁撰による日本最古の薬物事典『本草和名(ワミョウ)』(918)に収載されています。今では庭園や公園など観賞用として広く栽培されています。高さ約2mになり、長く伸びた新梢は湾曲して垂れ下がり、地面に接したところから根が出る性質があります。枝を縦に裂いた時、中が空洞ならレンギョウ、梯子段状に膜が並んだものがシナレンギョウとチョウセンレンギョウです。いずれも前年枝の腋から出た短枝に1~3個ずつ鮮黄色の花を咲かせます。その花には雌しべの長いもの(長花柱花)と短いもの(短花柱花)の2型があり、各々別株につけ、異形株間で受精が行われます。つまり、同じ型同士では受粉しても花粉が成長せず、受精しない仕組みになっているので、果実を薬用とする栽培では挿し木増殖した異型株を必ず隣接して植えることが重要なポイントです。同様の二型花としてはサクラソウが有名で、その他に三型花としてカタバミやミソハギなどがあります。
乾燥果実が「連翹(レンギョウ)」で、消炎、利尿、排膿、解毒などの作用があり、腫瘍の炎症、皮膚疾患などに用いられています。彫刻家で詩人の高村光太郎は本種の花を大変好んだことから、告別式では棺の上にレンギョウが一枝置かれ、また彼の命日である4月2日を“連翹忌”という由。