リンドウ・クマの胆(キモ)より苦い根
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特徴
リンドウ(var. buergeri)は、本州から奄美諸島までの山野に自生する多年草です。和名は、根が非常に苦いので竜の肝のようなという意味から名付けられた漢名の「竜胆(リンタウ)」が訛ったものらしい。昔、苦いものの代表は熊胆(ユウタン)(熊の胆汁で解毒薬にする)であったが、それよりも苦いので、熊より強い動物の名前が付けられた由。別名「タツノイグサ」(竜の胃草)とも呼ばれています。
漢方では根茎を乾燥して「竜胆(リュウタン)」と呼び、苦味健胃薬として用います。本来、中国や朝鮮半島に分布するトウリンドウ(Gentiana scabra)が基原植物の正品ですが、この仲間はいずれも苦味配糖体を含んでいて、中でもヨーロッパ特産のものは「ゲンチアナ」と総称されています。これらの苦味成分が唾液や胃液の分泌を盛んにして、消化吸収を促進するとともに、膵液や胆汁の分泌も増進させます。
草丈20~80cm。花期は9~10月、茎の上方に4~6花がかたまって咲きます。花色はきれいな碧紫色、稀に白花もあります。かつては野生株が多く見られた里山の激減で、今では絶滅危惧種に指定されています。12月初旬に熟した種子を採集し、ミズゴケの上に“採り播き”すると、よく発芽します。薬草園では滋賀県大津市仰木の里から採種・育成した株を東玄関のすぐ近くで栽培していますが、横に倒れた茎から頭だけを起こした姿で、花は日差しの強い時だけ大きく開いて夜には閉じます。