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サボンソウ・シャボンの語源植物

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特徴

 サボンソウ(Saponaria officinalis)は、ヨーロッパから中央アジア原産の多年草です。日本へは明治初期に伝えられ、花が美しいため花壇用宿根草としてもよく植えられています。草丈は30~80cm、根茎が横走し株立ちとなって茂ります。初夏から夏にかけて、枝端に径2~3cmの5弁花を咲かせます。花色は淡紅または白色ですが、稀に紅色花や八重咲き品種もあります。一見ナデシコに似ていますが、花弁に切れ込みのないのが特徴です。耐寒性があって、秋または春に株分け苗を植えれば、あまり手をかけずに毎年奇麗な花を咲かせてくれます。よく結実するので、種子繁殖でも容易に殖やせます。

 古代ギリシャの時代から薬用植物として知られ、この根を乾燥したものが「サポナリア根」で、去痰薬とするほか梅毒、腺病質および慢性皮膚炎などに体質改善外用薬として用いられました。去痰、緩下作用のほか胆汁分泌促進や消炎薬としても利用されますが、作用が激しく、用量を間違えると激しい下痢を引き起こすので注意が必要です。

 根や葉にサポニンという天然界面活性成分を含むため、古くから石鹸として利用されました。属名は、シャボンの語源であるラテン語の「サボ」に由来し、英名(soapwort)も「石鹸草」の意味です。現在、欧州では文化財の衣裳や絨毯の専用洗剤、あるいは高価な高級石鹸などに利用されています。