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セイヨウワサビ・庭でもよく育つ

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特徴

 刺身に欠かせない香辛野菜のワサビ(山葵)は深山の渓流沿いに自生する日本特産の多年草で、水温10℃ほどの清澄な流水でしか栽培できませんが、カスピ海北部沿岸のアストラハニ付近を原産とするセイヨウワサビ(Armoracia rusticana)は、若狭の畑や庭でも比較的簡単に育てて利用することができます。英名をホース・ラディッシュ(horseradish)と呼び、欧米では古くから香辛料とされ、ことに生根を薄切り、あるいはすり潰してローストビーフやビフテキに添える習慣があります。

 根茎には配糖体シニグリンが含まれていて、酵素ミロシナーゼの作用で独特の辛みを有する芥子油が生じて舌を刺激します。強力な循環刺激剤で、マスタードオイルを含むため抗菌性または肺や泌尿器の感染症にも効果があり、痛風やリウマチの内服薬としても利用されていますが、甲状腺機能が低下している場合やチロシンキを服用している場合には用いないこととされています。

 日本へは明治初年(1873)にアメリカから導入されました。別名「ワサビダイコン」とも呼ばれ、性質強健でどこでもよく生育します。20℃前後の気温下ではシダ状の葉を、28℃以上では生育が鈍化して丸い葉を形成するようになります。4~5月頃に白色小花を開きますが、種子はほとんどできません。そのため繁殖は側根を“タネ根”として植付けると、株元の切口に不定芽を発生します。